NHK大河ドラマ「青天を衝け」に登場する徳川慶喜の正室・美賀君(みかぎみ)の人物像などをまとめます。高貴な生まれにして最後の将軍・徳川慶喜に嫁ぎ、さまざまな葛藤を抱えていくことになりそうです。
美賀君を演じるのは、2021年後期の朝ドラ「カムカムエブリバディ」のヒロインの1人に抜擢されている女優・川栄李奈(かわえい・りな)です。
代役での結婚 今出川家の出身
美賀君(一条美賀子、徳川美賀子)は、公卿・今出川公久(いまでがわ・きんひさ)の娘として生まれ、「最後の将軍」徳川慶喜の正室となった女性です。
当初、徳川慶喜は関白・一条忠香の娘である千代君(照姫、一条輝子)と婚約をしていました。しかし、婚儀の直前に千代君が疱瘡(天然痘)に罹患したために急遽美賀君が代役に指名され、一条忠香の養女となった上で、慶喜との結婚が成立しています(安政2年・1855年)。
<#青天を衝け 登場人物紹介>
病にかかった慶喜の婚約者の代わりとして正室になる。一橋家の未亡人である徳信院と慶喜の恋仲を疑い、自殺未遂の騒動を起こした。付かず離れずの夫婦であるが、やがて慶喜のよき理解者となる。 pic.twitter.com/gyI6LVpKem
— 【公式】大河ドラマ「青天を衝け」 (@nhk_seiten) December 26, 2020
徳信院に嫉妬 娘が夭折…ふさぎ込む
千代君の代役として急遽慶喜の正室となった美賀君。「所詮は代役」という思いもあったのでしょう。美賀君は、満たされない寂しさを抱えながら生きていくことになります。
慶喜は義祖母にあたる一橋家の女当主・徳信院(慶喜の7歳年上だった)と大変仲がよく心を許していたため、美賀君は二人の関係に嫉妬したとも言われます。
また、結婚から3年後の安政5年(1858年)に慶喜との子(女子)を出産するも、生後すぐに夭折。やがて慶喜が将軍後見職となり京へと向かうと、夫婦は長年に及ぶ別居生活に突入。結婚以来夫婦仲は決して良いとはいえず、美賀君は孤独感を深め、随分とふさぎ込んでいたようです。
長年の別居生活
将軍就任後も慶喜は入洛をしており、美賀君は江戸城大奥に入らず。慶喜は将軍職返上後も上野寛永寺、駿府宝台院で謹慎生活を送ったため、美賀君と対面することはありませんでした。
ようやく明治2年(1869年)に慶喜の謹慎が解除されると美賀君は静岡へと向かい、二人は10年ぶりに一緒に暮らすことになります。この頃にはいくらか夫婦仲も改善されていたようです。
美賀君は病弱だったため二人目の子を授かることはありませんでしたが、慶喜と側室(新村信、中根幸)との間に生まれた子はすべて美賀君が実母として育てたとされます。
感情の起伏が激しい美賀君 川栄李奈が演じる
「青天を衝け」では、徳川慶喜(草なぎ剛)が「正室は誰でもいい」といった無関心な態度を見せ、これを察した美賀君(川栄李奈)が傷つく様子などが描かれていきます。
「大人の余裕」を見せつける徳信院(美村里江)と慶喜との関係性に嫉妬し、感情がコントロールできなくなってしまう美賀君。
徳信院への嫉妬をこじらせ、ついには自殺未遂騒動を巻き起こす美賀君ですが、やがて自らの置かれた立場を理解するとその生き方を変えていくことになります。
▷川栄李奈(かわえい・りな)は、神奈川県出身の26歳の女優。AKB48の元メンバー。AKB48を卒業後は女優に転身し、NHKドラマ「とと姉ちゃん」「アシガール」「いだてん」や映画「恋のしずく(主演)」などに出演。2021年後期に放送予定のNHK朝ドラ「カムカムエブリバディ」では上白石萌音、深津絵里とともに親子三代の「トリプルヒロイン」を演じる。(追記)「カムカムエヴリバディ」では三代目ヒロインを見事に演じきり、ドラマ人気の立役者に。劇中で披露した英語力は、かつて「おバカ」タレントとして人気になったタレントイメージを覆すものとなっています。