「青天を衝け」尾高平九郎の運命とは 彰義隊、振武軍と飯能戦争

NHK大河ドラマ「青天を衝け」に登場する尾高平九郎(おだか・へいくろう)についてまとめます。この記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

尾高家の末っ子・平九郎

尾高平九郎は、尾高惇忠、尾高長七郎、尾高千代らの弟。「青天を衝け」では、尾高家の末っ子として兄や姉から可愛がられて真っ直ぐな子に育つ姿が描かれています。

幼い頃から偉大な兄たちに憧れ、学問と武術を身につけていく平九郎。やがて周囲の目を惹く美青年に成長すると、栄一の妹・てい(お貞)との淡い恋なども経験しつつ、兄たちを追うように幕末の動乱に身を投じていきます。以下、尾高平九郎がたどる短くも鮮烈な人生を簡単にまとめます。

「青天を衝け」渋沢栄一の妹・渋沢てい(お貞) 女優・藤野涼子が演じる

▷「幕末きってのイケメン武士」尾高平九郎を演じるのは、俳優の岡田健史(おかだ・けんし)。福岡県出身の21歳で、ドラマ「中学聖日記」「大江戸もののけ物語」「いとしのニーナ」、映画「望み」「弥生、三月-君を愛した30年-」「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」「新解釈・三國志」などに出演。

栄一の「見立て養子」になる

尾高家の末っ子(渋沢栄一の従弟)として育った平九郎は、兄・惇忠らに大きな影響を受けて学問と武芸に励み、19歳で人に剣術を教えるまでになります。惇忠によれば平九郎の性格は「温厚で沈勇果毅」であり、「所作は美しく色白で背が高く腕力もある」とのことで、ずいぶんと美男子だったようです。

平九郎は惇忠、栄一らの背中を追い、実行されず未遂に終わった高崎城襲撃横浜外国人居留地焼き討ち計画への参加を予定するなど、尊皇攘夷の思想を強めていきます。

やがて一橋慶喜の家臣となった栄一がパリ万博の随行員になると、洋行に際し不測の事態に備えるために(「中の家」の家系が断絶しないように)、栄一は平九郎を見立て養子としています

彰義隊、振武軍に参加 運命の飯能戦争へ…

栄一の見立て養子となった平九郎は、幕末の動乱に身を投じていきます。

平九郎は、大政奉還後の徳川慶喜の蟄居に不満を抱いた有志らによる警護部隊「彰義隊(しょうぎたい)」に惇忠らと参加。旧幕府側勢力を護る立場として、新政府軍と対峙していきます。この彰義隊の頭取を務めていた従兄の渋沢成一郎(喜作)が内紛により同隊を離脱すると、これに惇忠や平九郎も追従。成一郎が結成した「振武軍(しんぶぐん)」に参加しています。

新政府軍は彰義隊を上野戦争で撃破すると、飯能・能仁寺(埼玉県飯能市)に陣を構えた振武軍に迫ります。「飯能戦争」と呼ばれるこの戦いは半日とかからずに新政府軍が圧勝し、振武軍は壊滅。飯能市街の半分が焼失するという惨事となっています。

振武軍の生き残りの面々は敗走し、惇忠と成一郎は逃げ延びて箱館まで転戦。一方、兄たちとはぐれてしまった平九郎は、飯能から顔振峠を超えて黒山村(現在の埼玉県越生町)まで落ち延びますが、ここで官軍に捕捉されて交戦。必死の反撃をするものの深い傷を負うと、ついに観念した平九郎は川岸の岩にどかっと座り、誇り高く自害を遂げたそうです。まだ22歳という若さでした。

平九郎の首は今市宿(現在の越生市街地)に晒された一方で、胴体は平九郎の死に様に感銘を受けた黒山村の人たちにより、全洞院(現在の越生町黒山)に埋葬されたそうです。地元の人々は壮絶な最期を遂げた平九郎を「脱走の有志様(だっそ様)」と崇めたとか。

平九郎を見立て養子に指名した上で洋行中だった栄一、それに維新後も活躍を見せていく惇忠、成一郎らにとって、平九郎の若すぎる死は辛く重いものとなっていきそうです。

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▷平九郎が逃走中に姿を現した峠の茶屋(平九郎茶屋として現在も営業)など、飯能・越生周辺にはゆかりの地が残っています。
「青天を衝け」振武軍の飯能戦争と平九郎の自害 飯能・能仁寺、平九郎茶屋、黒山(越生)など ゆかりの地まとめ

▼平九郎の墓がある全洞院。境内には後年に渋沢栄一が建てた「澁澤平九郎之墓」があります。

▼全洞院のすぐ近くの川沿いの道には、「澁澤平九郎自決之地」の碑があります。越生町黒山地区は観光地「黒山三滝」で知られますが、そのすぐ傍らには悲しい歴史が眠っています。

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