NHK連続テレビ小説「花子とアン」に登場するラジオ局「JOAK(東京放送局)」の出演メンバーをまとめます。JOAK・東京放送局は現在のNHK東京にあたります。
黒沢一史(木村彰吾)
元「東西日報」の新聞記者。九州・福岡の嘉納伝助(吉田鋼太郎)邸に取材のため出入りしていた当時に、蓮子(仲間由紀恵)と知り合う。
いつの間にか東西日報を退社し、東京のJOAKに転職。新番組「コドモの時間」の担当(プロデューサー?)となる。蓮子の紹介により、花子(吉高由里子)を「コドモの時間」番組内のニュースコーナーの語り手に抜擢する。
番組づくりに意見を申し出る花子に対し理解を示す一方で、花子が間違った行動を起こせば厳しく叱責するなど、元ジャーナリストだけあって冷静で理知的。物事の判断に筋が通っている。
漆原光麿(岩松了)
JOAKの製作部長で黒沢の上司。花子の「コドモの新聞」起用には当初から不満を持っている。
妻は花子と同じ修和女学校の出身で、漆原は朝から晩まで「ごきげんよう」を聞かされイラッとしている。そのため、花子が番組で「ごきげんよう」の挨拶を使っていることにも難癖をつけてくる。
一見穏やかそうに見えるが、心の内では何を考えているのかわからない「裏表」がある性格。その場その場で強者の意見に取り入る「日和見」的な性向も見られる。
日中戦争が本格化し、軍隊や戦況を伝える放送内容が増えるとともに、漆原は軍部の意向を汲み取り、花子の番組への意見や要望を無下に却下するようになる。やがてますます花子への風当たりを強くし、花子の番組降板を望むようになる。
有馬次郎(堀部圭亮)
JOAKの看板アナウンサーで、「コドモの新聞」では花子と隔週交代で語り手を務めている。
日々アナウンス技術の向上を追求しており、職人気質を持つ。それ故、原稿読みの素人である花子の番組起用に当初から反対していた。既成概念にとらわれず、子供にわかりやすいニュースを読みたいと考える花子に対し、「アナウンサーは与えられた原稿を忠実に読むべきである」と放送業界の常識を説く。
花子に対しては常に厳しいが漆原のような「日和見」な性分は見られず、あくまで生真面目に、アナウンサーの職務として「中立」を貫く立場。
いよいよ情報局による放送への介入が始まると、中立性のない放送に対し失望。「今日からラジオのあり方は変わってしまった」と落胆する。
情報局情報課長・進藤(信太昌之=しだまさゆき)
情報統制のため設置された国の機関「情報局」から派遣された、情報局情報課長。ナレーションの美輪明宏は、尊大な進藤のことを嫌悪感をもって「エライ役人」と表現。
太平洋戦争が始まると、JOAKにズカズカと乗り込んで来て国民に向けたメッセージを読み上げるようになる。「国民一丸となって総進軍!」「断じて恐るることはありません!!」などと怒鳴るような声で原稿を読み上げ、「今日からラジオのあり方は変わってしまった」と有馬次郎を失望させる。
花子に対して「子どもたちを良き少国民(※しょうこくみん=銃後にいる子供たちを指した)に導くことをお願いします」と告げ、番組降板の決定打となる。
JOAK局長(未登場、セリフで言及されたのみ)
東京放送局長。花子の「王子と乞食」を読んで感銘を受けており、花子の語り手登用に最終的にGOサインを出した人物。
「逓信省」(未登場、セリフで言及されたのみ)
JOAKで放送される原稿は、事前に逓信省がチェック。花子が子供向けにニュース原稿を書き直した際には、黒沢が放送前に逓信省に許可をもらいに行っている。
「逓信省(ていしんしょう)」は戦後すぐまで存在していた中央官庁で、「郵便」「電話」「電信」「交通」「電気」など幅広い分野を管轄していた。
日本のラジオ放送は、開始当初から逓信省を通じて強い統制を受けていた。いよいよ戦争が本格化すると、情報統制のために設置された機関である「情報局」が放送に積極的に介入。ラジオ放送はプロパガンダの道具として強い発信力を発揮していく。
関連記事
・「花子とアン」登場人物 反戦・戦争推進派・中立 思想まとめ
・「ラジオのおばさん」村岡花子の出演経緯 流行語「ごきげんよう、さようなら」