NHK大河ドラマ「どうする家康」第14話(4月16日初回放送)より。織田信長から「しんがり」を任されてもんどり打つ木下藤吉郎(ムロツヨシ)が何を言っているのかまったく聞くとれなかったので、字幕をONにして見直してみました。
その結果、藤吉郎は「しんがり」を任されて「ああ 死んだ!あ〜!こりゃ死んだわ!」と泣きわめいていたことが判明しましたので、セリフを書き出してみます。
浅井の裏切り 家康の進言を認めたがらない信長
お市(北川景子)と阿月(伊東蒼)の決死の伝言により、ようやく浅井が織田を裏切って朝倉側に付いたらしいことを悟った織田陣営。
「早うお逃げさなれ!」「逃げんかあほたわけ!」と鬼の形相で信長(岡田准一)に対して撤退を促す家康(松本潤)ですが、信長は意固地になっているのか、なかなか家康の進言を素直に受け入れません。
とはいえ、信長も状況は痛いほど理解している様子。苦々しい表情で家康を睨みつけた信長は、「猿!しんがりを任せる!役目を果たせ」と藤吉郎(ムロツヨシ)に命令すると、家康に対しては首根っこを掴んで「お主は好きにしろ」と吐き捨て、その場を去ってしまいます。
「あ〜!こりゃ死んだわ!」しんがりを任されご乱心の藤吉郎
信長からの「しんがりを任せる」という命令を受けた藤吉郎は「あり…ありがとうごぜ〜ます…」とうわ言のように繰り返すと、信長が去った後に七転八倒。いつもの10倍はクセが強い尾張弁で何かをまくし立てながら、何やら家康を恫喝しています。
この一連のセリフ。藤吉郎を演じるムロツヨシの怪演が光りましたが、いかんせん何を言っているのかまったく聞き取れず。ネット上でも聞き取れなかったという声が多く見られました。
初見ではしんがりを任された藤吉郎が光栄のあまり泣いて喜んでいるのかと理解したのですが(それも流れ的に明らかにおかしい)、字幕をONにしてもう一度見たところ、藤吉郎はまったく逆の反応を見せていました。以下、このシーンの字幕の書き出しをしてみます。
藤吉郎「(立ち去る信長に対し)ありがとうごぜ〜ます…。あり…あり…ありがとうごぜ〜ます…。ありがとうごぜ〜ます!ああ…あ…ああ〜!(膝から崩れ落ちる)」
藤吉郎「ああ!ああ!ああ 死んだ!あ〜!あ〜!あ〜!こりゃ死んだわ!おっかあ…!もう一度 おっかあと抱き合いっこしたかったあ〜(突っ伏して号泣)おっかあ おっかあ おっかあ!あ〜!あ〜!ア〜ハハハハハハ…!(身悶えしながら徐々に立ち上がる)ウハハハハハ…!うあ〜!」
藤吉郎「ここで もし生き延びれば わしゃ まっとまっと上に行けるがや!」
藤吉郎「徳川様!わしゃ こんな大戦(おおいくさ)を指図したことがねえでよ!どうしたらええ?手伝ってちょうでえ 一緒にやろまい!ヒャヒャッ!」
家康「なぜわしらが…?」
藤吉郎「(すっくと立ち上がり家康に食いつく)ここで逃げれば!あんたは殿を見捨てたことになるに。あんたは将軍様を裏切って浅井 朝倉と手を組むつもりだと わしゃあ〜言い触らしたるでよ!ハッハハハハハハハッッ!(爆笑で恫喝)」
家康「(藤吉郎の首根っこを掴んで)クズじゃな、お前は」
藤吉郎「あんたのために言ったっとるんだがや…!(憎らしい笑顔)」
実に藤吉郎らしい(?)狡猾なやり取りが行われていたのですね。信長なんぞのために死にたくない腰巾着の藤吉郎は、瞬時に計算し、家康を利用しようと自らの戦いに巻き込んだわけです。
家康としてはセコい「猿」の恫喝など屁でもないといったところでしょうが、命を懸けてお市の伝言を伝えてくれた阿月に報いたいという気持ちが強かったようです。
家康とその家臣団たちは、金ヶ崎で朝倉浅井連合軍を迎え撃ち、少しでも信長が逃げ延びる時間を作り出すことを決意。藤吉郎らと共に苦しい「撤退戦」に挑むことになります。
次回放送では、朝倉浅井軍との戦果をまるで自分一人の手柄かのように語る藤吉郎の姿が見られるようなので、こちらも楽しみです。