NHK連続テレビ小説「らんまん」に登場する寡黙な菓子職人・阿部文太(あべ・ぶんた)についてまとめます。
阿部文太を演じるのは、近年脇役として多数のドラマに出演を続けている俳優・池内万作(いけうち・まんさく)です。
白梅堂の寡黙な菓子職人・阿部文太
上京して下町・根津の貧乏長屋「十徳長屋」に住み始めた万太郎(神木隆之介)は、あこがれの人・西村寿恵子(浜辺美波)がいる近所の菓子屋「白梅堂(はくばいどう)」に足繁く通うようになっていきます。
「白梅堂」は、寿恵子の母・まつ(牧瀬里穂)が切り盛りしている町の小さなお菓子屋さん。店頭にはまつや寿恵子が立ち、その奥では寡黙ながら腕利きの菓子職人・阿部文太(池内万作)が菓子作りに精を出しています。
寿恵子に惚れ込んでいながら、なかなかその想いを打ち明けられない万太郎。そんな万太郎と寿恵子の関係性を、まつや文太たちは色々な思いを抱えながら見守っていきそうです。
そして気になるのが、店を切り盛りするまつと、雇われ職人の身にある文太との関係性です。まつは芸者から武士の妾になったものの早くに旦那を失い、女手ひとつで苦労を重ねてきた身。そんなまつの姿を一番近くで見てきた文太が、まつと結ばれるような展開があるかも知れません。
芸能のサラブレッド 俳優・池内万作
阿部文太を演じているのは、東京都出身の51歳の俳優・池内万作(いけうち・まんさく)です。
祖父は映画監督、脚本家、俳優、エッセイストとして活躍した伊丹万作、父は「お葬式」「マルサの女」「ミンボーの女」などの作品を遺した映画監督・伊丹十三、母は「あまちゃん」「ひよっこ」などへの出演で知られる名女優・宮本信子。
そして叔父(父の妹の夫)には芥川賞作家・大江健三郎を持つという芸能、芸術一族の出であり、池内万作も1990年代から俳優として活動を始めています。
1997年、NHK連続テレビ小説「あぐり」にヒロインの息子の親友・福沢南役で出演すると、NHK大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」(2002年・豊臣秀次役)、TBS系ドラマ「こちら本池上署」シリーズ(2002年〜・相馬俊彦役)「家栽の人」(2004年・橋本壮一役)、NHK朝ドラ「どんど晴れ」(2007年・西田一敏役)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010年・三条実美役)などの人気作に出演。
近年は迫力ある顔面(眼力)を持っていた亡き父・伊丹十三に似てきたのか、エキセントリックな役柄や、犯人と疑われる怪しい役柄などへの出演が増えています。
NHKドラマ「デザイナーベイビー – 速水刑事、産休前の難事件 -」(2015年)の病身の物理工学博士・近森博役、TBS系日曜劇場「危険なビーナス」(2020年)の矢神家の奇人・矢神牧雄役、フジテレビ系ドラマ「ミステリと言う勿れ」(2022年)のミステリー会が開催される別荘の主人・蔦薫平役、NHK夜ドラ「卒業タイムリミット」の怪しすぎる体育教師・野上厚役など、クセの強い役柄を次々に怪演し、性格俳優として存在感を増し続けています。
今回「らんまん」で演じる阿部文太役は、どちらかというと実直で真っ直ぐな性格の職人役のようです。「どんど晴れ」以来16年ぶり3度目となる朝ドラ出演に対し、若い頃のガムシャラさとは違い楽しんで演じられたらいい、と意気込みを語っています。