NHK大河ドラマ「どうする家康」第30回では、成長して13歳になっている茶々が登場。秀吉と対立した末に自害することになる母・お市に対し、茶々が「母上の無念は茶々が晴らします」「茶々が天下をとります」と宣言する様子が描かれています。
少女時代の茶々役は、独特の大人びた存在感で人気の子役・白鳥玉季（しらとり・たまき）が演じています。
母・お市が自害 残された愛娘・茶々、初、江
本能寺の変からの中国大返しにより豊臣秀吉（ムロツヨシ）が明智光秀（酒向芳）を討つと、織田家中では秀吉の影響力（やりたい放題）が急速に増していきます。
これに危機感を覚えた織田信長の妹・お市（北川景子）は、織田家を守りたいという責任感を胸に「清洲会議」のメンバーである織田氏有力家臣の柴田勝家（吉原光夫）と再婚。勝家は信長の三男・織田信孝を擁立し、三法師（後の織田秀信）を推す秀吉と対立を深めていきます。
この対立の末に起きたのが、有名な「賤ヶ岳の戦い」。秀吉の切り崩し工作もあり劣勢となった柴田勝家とお市は、頼みの徳川家康（松本潤）の助けも得られず、越前国・北の庄城で自害をすることになります。
この時、北の庄城にはお市が亡き前夫・浅井長政（大貫勇輔）との間にもうけた三人の愛娘・茶々、初、江もいました。お市は娘三人に織田家の誇りを託して秀吉のもとに逃した上で、自分は勝家とともにこの地で最期を迎えることを決意していたのです。
▼少女時代（13歳時）の茶々を演じたのは、人気子役の白鳥玉季。大人になった茶々は北川景子が二役で演じています。
「母上の無念は茶々が晴らします」茶々、復讐マシーンに？
この時、まだ幼い初と江はお市の「あとから（秀吉のもとに）参ります」という言葉を信じて素直に母と別れましたが、すでに分別がついている茶々はこれが母との今生の別れになることを理解していました。
茶々はお市のもとに駆け寄ると抱きつき、お市の耳元で「母上の無念は茶々が晴らします」「茶々が天下をとります」と決意表明。茶々が復讐マシーンに変貌していく伏線？とも思えるシーンが描かれています。
父・浅井長政が伯父の織田信長に攻められて自害し、兄の万福丸も信長の命で羽柴秀吉によって処刑され、ついには母のお市も豊臣秀吉に追い詰められて自害し、頼みの徳川家康も助けに来てくれない…。茶々は愛する家族を身内同士の争いで次々に失い、もはや誰のことも信用できなくなっているようです。
茶々はこの5年後、母の仇である豊臣秀吉の側室となり豊臣家後継者の秀頼を出産します。秀吉の死後には秀頼の後見人として豊臣家の政治に深く介入し、大阪の陣でついに徳川家康と激突。豊臣家滅亡への一本道を突き進んでいくことになります。
「母上の無念は茶々が晴らします」「茶々が天下をとります」という茶々の言葉。茶々の復讐心は、まずはわかりやすく豊臣秀吉に向かっていくことが予想されますが、最終的には「母を裏切った」徳川家康にも向かっていくのかも知れませんね。
ドラマのピークのひとつとなるであろう大坂の陣に向けて、第30回で白鳥玉季が演じた茶々の決意表明が大きな意味を持っていきそうです。
大人びた雰囲気 人気子役・白鳥玉季 「凪のお暇」「テセウスの船」
まだまだ幼さが見え隠れしながらも、憂いのある雰囲気・世界への諦念のようなものを漂わせていた少女時代の茶々。演じていたのは、東京都出身でトップコートに所属する13歳の子役・白鳥玉季（しらとり・たまき）です。
2016年、いきなりNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の星野青葉役（※ヒロインの初恋の人・星野武蔵＝坂口健太郎＝の娘役）でドラマデビューを飾ると、「A LIFE〜愛しき人〜」（2017年・TBS・川本桜役）、「凪のお暇」（2019年・TBS・白石うらら役）、「テセウスの船」（2020年・TBS・佐野鈴役）、「極主夫道」（2020年・読売テレビ・黒田向日葵役）などの人気ドラマに重要な役柄で次々と出演。
映画「永い言い訳」（2016年・大宮灯役）、「酔うと化け物になる父がつらい」（2020年・田所サキ役）、「ステップ」（2020年・武田美紀役）、「すばらしき世界」（2021年・西尾あゆみ役）など映画作品にも出演を重ねています。
この当時から、まだ10歳以下とは思えない大人びた雰囲気と、クールな視線の裏に本心を隠し持っているかのような繊細な演技で視聴者の大きな注目を集め、白鳥玉季が出演するたびに「あの大人びた美少女は誰？」とネット上で話題になっています。
2020年にはNHK朝ドラ「エール」で主人公を強烈にいじめる少女・とみ役で出演。このとみという娘は後に堀田真由演じる性悪女・志津として再登場しており、劇中で話題になったキャラクターの一人です。
また、同じ2020年にはNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に明智光秀の長女・お岸役で出演。「どうする家康」では織田家の血をひく茶々役を演じていますので、織田と明智という歴史上の両英傑の血縁者役をすでに演じていることになります。
明るく元気な子役というのはたくさんいるのですが、白鳥玉季のようにどこかクールな雰囲気を持った子役は貴重な存在。もともと端正なルックスを持つ上に演技力は抜群に高く、今後大人の俳優として進化を遂げていくことが期待されています。
