NHK連続テレビ小説「風、薫る」第21週では、アイドルデュオ・Winkのメンバーとして活躍した相田翔子が登場。男爵家の夫人・宮川佳枝(みやがわ・かえ)役を演じます。宮川佳枝はリウマチを患っており、恵風看護婦会のりんが派出看護を行うことになります。
りんのモデルである大関和は、鈴木雅(直美のモデル)が運営する東京看護婦会からの派遣で児玉源太郎男爵夫人や後藤象二郎元国務大臣ら上流階級の患者への派出看護を担当しており、こうした史実がこのエピソードのモチーフになっていると考えられます。
男爵家の夫人・宮川佳枝 リウマチで長期看護が必要
直美(上坂樹里)が運営する恵風看護婦会に所属するようになったりん(見上愛)。もともと士族の娘であることもあり、りんは同会のエース看護婦として上流階級の患者のもとに派遣される機会が増えていきます。
ある日、帝都医大附属病院の内科医・木村文平(前野朋哉)が恵風看護婦会を訪ねてくると、宮川佳枝(相田翔子)という40代の女性患者の派出看護を依頼します。佳枝は男爵家の夫人で、リウマチを患っており長期的な看護が必要とのこと。
男爵家の夫人が相手ということもあり、直美はこの派出看護の担当にりんを指名します。
「これから元家老の娘、一ノ瀬りんをうちの看板看護婦にしていくから!」
明治時代当時、裕福な患者の家に出入りするには看護婦自身の家格や出自が重要でした。直美は、高額報酬を払ってくれる裕福な患者が増えないと貧しい人たちへの無償看護が出来ないとりんに説明し、宮川家にりんを送り出します。
佳枝は当初、手足のしびれや痛みに苦しみ気落ちをしていましたが、りんの心のこもった看護に癒されて今後も依頼したいと話すようになります。

元Wink 俳優・相田翔子
1980年代後半からアイドルデュオ・Wink(1996年3月末で活動停止)のメンバーとして人気となり、バラエティ番組「世界ウルルン滞在記」「笑っていいとも!」「メレンゲの気持ち」などでタレントとしても広く活躍を見せてきた相田翔子。
俳優としてもNHKドラマ「七色のおばんざい」で主演を務め、ドラマ「チャンス!」「太閤記〜天下を獲った男・秀吉」「マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜」や、映画「花とアリス」「虹の女神 Rainbow Song」「インスタント沼」「ライアー×ライアー」に出演するなど多才な面を見せています。
NHK朝ドラ初出演となる「風、薫る」で演じる男爵家夫人・宮川佳枝役は、経済的には恵まれた立場にありながらもどこか寂しげな表情も見せる女性です。
第21週でりんはシマケン(佐野晶哉)との今後の関係に悩むことになりますが、佳枝の存在が少なからずその決断に影響を与えそうであり、重要な役どころとなりそうです。
【史実】上流階級の派出看護を担当した大関和
「風、薫る」で一ノ瀬りんが上流階級相手の派出看護を担当するという一連のエピソードは、りんのモデル・大関和の史実がモチーフになっていると考えられます。
大関和は、新潟高田の知命堂病院(「風、薫る」黒川病院のモデル)で働いていた時期に東京に帰省した際に、盟友の鈴木雅(直美のモデル)が運営していた派出看護婦会・東京看護婦会(恵風看護婦会のモデル)の手伝いをするよう頼まれています。
この時に大関和が派遣されたのは、のちに陸軍大臣となる児玉源太郎男爵の屋敷でした。大関和は児玉源太郎の妻を献身的に看護すると、この仕事ぶりに児玉源太郎が感激し、たまたま見舞いにやってきた内務省衛生局の後藤新平に大関和を紹介しています。
後に新潟での5年半にわたる生活を引き上げた大関和は、帰京すると東京看護婦会に所属するようになり、本格的に鈴木雅の片腕として派出看護に従事するようになっています。
大関和が東京看護婦会で最初に担当した患者は、元土佐藩士で維新後は国務大臣などを歴任した政治家・後藤象二郎でした。
心臓病を患っていた後藤象二郎はその翌年に他界していますが、大関和の献身的な看護、家老の娘ゆえの臆すること無い当意即妙の受け答えなどをとても気に入ったようです。
看護婦としての腕前や人柄の良さにくわえ、名家の内部事情などを決して他者に漏らさない口の堅さなどもあり、大関和の看護の評判はまたたく間に上流階級社会内で口伝てで広がっていきました。これにより東京看護婦会の大関和のもとには、政府高官や華族の家々から派出看護の依頼が次々と舞い込んでいったそうです。
こうして東京看護婦会の看板看護婦となった大関和の活躍により、東京看護婦会の経営は軌道に乗り、創設者の鈴木雅が掲げた理想である無料派出看護も実現していくことになります。
「風、薫る」でも一ノ瀬りんが上流階級相手に行う仕事ぶりが評判となり、恵風看護婦会の経営基盤を支えていく姿が描かれていきそうです。
▼児玉源太郎男爵を介して内務省衛生局長・後藤新平と知り合った大関和。この縁が後に看護婦の条件や資格試験の内容を定めた「看護婦規則」制定につながっています。

