NHK連続テレビ小説「ブギウギ」に登場する梅丸少女歌劇団(USK)第1期生の男役トップスター・橘アオイについてまとめます。
橘アオイを演じる翼和希(つばさ・かずき)はOSK日本歌劇団の現役の団員(男役スター)であり、ドラマにリアリティを与えてくれそうです。橘アオイのモデルになっている可能性がある人物も簡単にまとめます。
USK第1期生 男役のトップスター・橘アオイ
梅丸少女歌劇団(USK)の男役トップスター・橘アオイはとても厳しい先輩ですが、演じる翼和希さんは実はとてもチャーミングな方。すてきな笑顔のオフショットを撮らせてくださいました📷
— 朝ドラ「ブギウギ」公式 (@asadora_bk_nhk) September 25, 2023
スズちゃんたちを厳しく、でもあたたかく見守る #橘センパイ にぜひ注目してくださいね。#ブギウギ pic.twitter.com/yGv3RBxbZg
橘アオイ(翼和希)は梅丸少女歌劇団(略称・USK)の第1期生で、男役トップスター。娘役のトップスター・大和礼子(蒼井優)とともにUSKの立ち上げから参加し、劇団の基礎を創り上げてきた人物です。
USKに入団した鈴子(澤井梨丘)ら新人たちは、教育係である橘アオイから実技だけでなく生活態度や立ち居振舞いに至るまで、厳しい指導を受けていくことになります。
指導してくれる上級生がいない環境で自らを律して鍛錬を重ね、劇団を創り上げてきた橘アオイ。その情熱と責任感は後輩たちの良い見本となっていきそうです。
髪を短髪に整え、凛々しい立ち姿が印象的な橘アオイ。舞台上でも迫力ある力強い踊りが得意であり、いわゆる「男装の麗人」という言葉がピッタリ合うスター性を持っています。
盟友の大和礼子とともに劇団を牽引してきた橘アオイですが、やがて団員たちの待遇改善を求めるストライキ「桃色争議」が発生すると、争議の中心的な人物である大和礼子と意見が食い違っていきます。
やがて決着を見る「桃色争議」ですが、この騒動が橘アオイと大和礼子の運命を大きく変えていくことになります。
現役OSK男役スター・翼和希が演じる
#ブギウギ
— OSK日本歌劇団 (@oskrevue) October 6, 2023
ズキズキワクワク初登場回でした!
こうして並べてみると歌劇のお化粧も時代と共にずいぶん変化しております
1枚目 #USK #橘アオイ (昭和初期)
2枚目 #OSK日本歌劇団 #翼和希 (現代)
いずれも中の人は同じです笑#橘センパイ 来週からたくさん登場します!
どうぞご声援ください! pic.twitter.com/jCG2k938yw
橘アオイを演じる翼和希(つばさ・かずき)は、OSK日本歌劇団に所属する現役の男役スター。大阪府枚方市出身。
OSK日本歌劇団は、ヒロインのモデル・笠置シヅ子が最初に入団した松竹楽劇部(後の大阪松竹少女歌劇団=OSSK、大阪松竹歌劇団=OSK)を前身としており、「ブギウギ」に登場する梅丸少女歌劇団(USK)のモデルになっている歌劇団です。
翼和希は朝ドラ「ブギウギ」の制作が決まった時からこの作品に関わりたいと願っていたそうで、オーディションに合格した上で念願の朝ドラ初出演を勝ち取っています。
2011年、89期生としてOSK日本歌劇団研修所に入学した翼和希。2013年にOSK日本歌劇団に正式入団し、同年の「レビュー春のおどり〜桜咲く国」で初舞台を踏んでいます。
※宝塚歌劇団に憧れて宝塚音楽学校を受験したものの不合格となり、その後にOSKの存在を知って研究所に入学したという経緯は、笠置シヅ子と重なります。
卓越した歌唱力とダンスで観客を魅了し続け、2016年のOSK Revue Café 「Wake up !!」で小フロア公演初主演、2018年の「Revue Japan」「Fire Agate」で中劇場公演初主演、2022年の「the Diamond Quality」で大劇場公演初主演。順調にステップアップを重ね、現在は男役スター(2番手)として人気の団員となっています。
テレビドラマは「ブギウギ」が初出演。本人にとって大きなチャレンジとなりますが、OSK本場の舞台のクオリティをドラマにも持ち込んでくれそうです。
橘アオイのモデルは元祖「男装の麗人」水の江瀧子?宝塚の橘薫?
梅丸少女歌劇団(USK)トップスターを演じる蒼井優さんと翼和希さん、本日から登場です👏
— 朝ドラ「ブギウギ」公式 (@asadora_bk_nhk) October 5, 2023
レビューシーンの撮影の合間、客席に向かってお手ふりの蒼井さんにキュン…
来週からのおふたりにぜひご注目ください!#ブギウギ pic.twitter.com/8bmmX0KczI
橘アオイというキャラクターは、基本的にはドラマオリジナルのフィクションの存在と考えて良さそうです。
ただし、1928年(昭和3年)に東京で発足した東京松竹楽劇部(松竹楽劇部の後発の姉妹劇団。後の松竹歌劇団=SKD)の第一期生で元祖「男装の麗人」として大活躍した「ターキー」こと水の江瀧子が、橘アオイのキャラクターモチーフになっている可能性があります。
笠置シヅ子(ヒロイン鈴子のモデル)が入団した当時の大阪の松竹楽劇部(現在のOSK日本歌劇団)にはまだ断髪の男役はおらず、男役は長い髪をまとめてその上からシルクハットをかぶるという形で舞台に上がっていました。そんな時代に東京松竹楽劇部に颯爽と登場したのが、髪の毛をバッサリと短髪にした男役・水の江瀧子でした。
※つまり「ブギウギ」で鈴子がUSKに入団した1927年(昭和2年)時点ですでに断髪姿の橘アオイが男役スターに君臨しているというのは、史実とは異なるわけです。
水の江瀧子はたちまち「男装の麗人」として大人気となり、「ターキー」の愛称で日産自動車のキャンペーンガールに選ばれるなど、一躍国民的スターになっています。水の江瀧子は背が高くスラッとした体型であり、その美しい男装姿に多くの少女ファンたちが同性愛のような恋慕の感情を抱いたとされます。
1932年(昭和7年)、東京と大阪で相次いで発生した松竹の団員による労働争議「桃色争議」により、大阪の松竹楽劇部では飛鳥明子(「ブギウギ」大和礼子モデル)が責任を取る形で退団。東京松竹楽劇部では争議委員長だった18歳のトップスター・水の江瀧子が一度は懲戒解雇を宣告され警察に拘束されるに至りますが、絶大な人気を誇った水の江瀧子を周囲が擁護し、その後に謹慎期間を経て劇団に復帰をしています。
「ブギウギ」に登場する橘アオイは男装の麗人であること、(東京と大阪の違いはあれど)桃色争議の渦中の人として責任を問われそうなことなど、水の江瀧子と重なる部分があるように思います。
ただし、水の江瀧子は笠置シヅ子の一歳年下であり、舞台デビューも笠置シヅ子より後。「ブギウギ」のUSK先輩・橘アオイのモデルとは言い切れない部分もあります。
ちなみに、水の江瀧子の初舞台は笠置シヅ子も参加した大阪・松竹楽劇部の東京公演(1928年・昭和3年)のバックという扱いでした。水の江瀧子は「笠置さんが初めて私のお化粧をしれくれたの。だから笠置さんとは相当長く付き合ってましたよ」と当時のことを振り返っています。
※水の江瀧子とは別に、笠置シヅ子と親交があった宝塚少女歌劇団(15期生)出身のシャンソン歌手・橘薫(たちばな・かおる)の要素も橘アオイのキャラクター作りの参考になっている可能性も?もしUSKを去った橘アオイがシャンソン歌手になるような展開があればビンゴです。
※桃色争議後のOSSKで三笠静子(後の笠置シヅ子)らとともに新世代スターとして台頭した男役・柏ハルエも、橘アオイのモデル候補の一人かも。