NHK連続テレビ小説「なつぞら」に登場する演劇「白蛇伝説」について内容、あらすじなどをまとめます。
「白蛇伝説」は、なつが十勝農業高校の演劇部に入り、主役を演じることになる舞台作品。後にアニメーターになったなつは、この「白蛇伝説」をモチーフにした長編アニメを手掛けることになります。
倉田先生の創作脚本「白蛇伝説」
脚本を書き上げた倉田先生によれば「白蛇伝説」はあくまで架空の物語であり、帯広や音問別(おといべつ。ドラマ上の架空の地名)に伝わる様々な話を元に創作されたとのこと。倉田先生はこの物語を完成させるため、森に住む阿川弥市郎のもとをたびたび訪ね、熱心に聞き取り調査をしています。
倉田先生いわく「白蛇伝説」のテーマは、「個人の問題と集団の問題」。自己犠牲の思想と、集団との関係について描きます。
「白蛇伝説」主な登場人物
村長の娘・ペチカ/神様の使い(二役)…奥原なつ
村の若者・ポポロ…小畑雪次郎
村長…門倉努
白蛇…居村良子
「白蛇伝説」のあらすじ
白い蛇を助ける青年・ポポロ
遠い昔の北の国の話。勇敢な男・ポポロが道を歩いていると、子どもたちが白い蛇を捕まえて食べようとしていました。心優しいポポロが蛇を逃してやると、突然川から美味しい珍魚・オショロコマがバシャッと跳ね上がり、それを受け取った子どもたちは大喜びします。
これを見たポポロは、白い蛇が「神様の使い」に違いないと考えます。
村に謎の病気が蔓延 解決法は…
それからしばらくの後。ポポロの住む「川上の村」で原因不明の不思議な病が蔓延し、多くの村人が死を待つだけの状態になってしまいます。
やがて村長は、鮭の皮を焼いて煎じて飲ませればこの病気が治ることを知り、鮭が採れる川下の村(ポポロたちが居る川上の村とは犬猿の仲)に話し合いに向かいます。
川下の村が提示してきた要求は、鮭を分けるかわりに村長の美しい娘・ペチカを川下の村に嫁がせることでした。この話を当事者のペチカは承諾しますが、ポポロは猛反対をします。実は、ポポロとペチカは結婚を誓いあった恋仲にあったのです。
白蛇の化身と出会う 願いをひとつだけ…
愛するペチカを失うことに絶望したポポロは、山中をさまよい歩きます。するとポポロは、かつて助けたあの白い蛇の化身だという、ペチカそっくりの美しい女性に出会います。
白蛇の化身から、助けてくれたお礼に一番の願い事を叶えて差し上げましょう、と言われたポポロは、咄嗟に「ペチカを他の誰にも嫁がないようにさせてください!」とお願いしてしまいます。
すると間もなくして、ペチカは原因不明の眠り病にかかってしまいます。これによりペチカは川下の村に嫁げなくなりましたが、その代わりに鮭も手に入らなくなり、川上の村の多くの病人たちは死を待つだけの状況に陥ってしまいます。
ポポロに恋をしてしまった白蛇
「なぜあの時、村人みんなを助けてくれと白蛇の化身に願わなかったのか…」。ポポロは、我欲を優先してしまったことを悔やみます。
そんなポポロのもとに、再び白蛇の化身が姿を見せます。
白蛇の化身「わたしがいけないのです。わたしは神の使いでありながら、あなたに恋をしました。だからペチカを眠らせたのです。ペチカを諦めてほしかったのです…」
白蛇の化身「さあ、わたしを焼いてください。白蛇の皮を焼いてそれを煎じて飲めば、病気は治ります。そして川ではオショロコマがたくさんとれるでしょう。それを分け合って川下の村と仲良くなってください。そして、平和に暮らしてください…」
こうして村には平和が訪れ…。(おわり)
「白蛇姫物語」+「白蛇伝」がモチーフ?
前述のように、この「白蛇伝説」のストーリーは十勝地方に伝わる民話等をもとに倉田先生が創作したオリジナルストーリーです。
帯広にもほど近い十勝地方・鹿追町には、貧窮にあえぐアイヌの村人が白蛇の導きによりオショロコマの大群を発見する「白蛇姫物語」という民話が存在しており、この「白蛇姫物語」が「白蛇伝説」創作の参考になっている可能性があります。
また、人間に化けた美しい白蛇が青年に恋をする寓話「白蛇伝(※)」の要素も「白蛇伝説」に取り入れられているのではないかと思います。
(※「白蛇伝」は中国古代の四大民間伝説の一つ。1958年、この民間伝説をモチーフにした日本初のカラー長編漫画映画「白蛇伝」が東映動画により公開。「なつぞら」では東洋動画制作の「白蛇姫」という架空の作品として登場する模様です。)
白蛇の化身=砂良?
なつは後に、吹雪の中救出してくれ、オショロコマを食べさせてくれた阿川砂良に対し「砂良さんが白蛇の化身だったんですね!きっと倉田先生はあなたをモデルにしたんです!」と発言しています(5月13日、第37回)。
この発言が後のストーリー展開の伏線になるのか(砂良が照男に恋に落ちて結婚し、なつに代わって柴田牧場の救世主になる??)、今後が注目されます。