NHK連続テレビ小説「なつぞら」に登場する東京・新宿のカフェ兼ベーカリー「川村屋」。初めて川村屋を訪ねたなつと富士子は、地元・帯広の雪月と比べて値段が「三倍高い」と目を丸くします。
この記事では、川村屋のメニューと値段をまとめるとともに、当時の庶民の物価感覚を簡単にまとめます。
川村屋のメニュー インドカリーとクリームパンが名物
川村屋は、実在する飲食企業「新宿中村屋」(インドカリー、クリームパン、ボルシチなどが名物)が創作のモチーフになっているとも噂されます。
昭和30年、初めて川村屋にやってきたなつと富士子は、川村屋のメニューを見て値段の高さに驚くことになります。以下、画面から読み取れたメニューと値段を書き出してみます。
川村屋 食事メニュー
インド風バターカリー 120円
ボルシチ 100円
クリームパン 35円
カリーパン 35円
ロールケーキ 50円
バターケーキ 40円
ロシアケーキ 35円
アップルパイ 40円
サバラン 45円
モンブラン 45円
カステラ 30円
スイートポテト ??円
シュークリーム ??円
当時の物価感覚は?
昭和30年当時の消費者物価指数は現在の約6分の1ほど。単純に上のメニューを6倍すると、インド風バターカリーが720円、ボルシチが600円、クリームパン・カリーパンが210円となり、そこまで極端に高くは感じません。
ただしこれはあくまで消費者物価指数による単純計算の話であり、当時の実際の庶民の物価感覚とは少し乖離がありそうです。以下、昭和30年当時の物の値段を「物価の文化史事典」(展望社)からピックアップしてみます。
昭和30年前後の物の値段
・中華そば(東京・1杯)…40円
・うどん、そば(東京・1杯)…25円〜30円 ※昭和29年
・天丼(東京・1杯)…150円
・中村屋のカリー(デミ・コーヒー付)…150円
・木村屋のあんぱん(1個)…12円 ※昭和31年・男の理髪料(東京・大人)…140円 ※昭和28年
・国立博物館観覧料(大人)…30円 ※昭和29年
・山手線初乗り運賃(大人)…10円
以上から、川村屋のインド風バターカリー120円は、当時の庶民が食べるラーメンの3杯分、うどん・そばの4杯分、木村屋のあんぱん10個分に相当します。現在の物価感覚でいえば1200円〜2000円くらいの感じでしょうか。ちょっとしたご馳走ですね。
また、川村屋のクリームパン1個=35円でうどん・そば(30円)、ラーメン(40円)が一食分食べられるわけであり、帯広価格で営業している雪月の値段と比べて「三倍高い」と驚くのも無理がないことといえそうです。