「らんまん」菊くらべの一等報酬は500円、寿恵子の前借り給金は100円(明治時代) 現在の価値でいくらくらい?

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NHK連続テレビ小説「らんまん」第21週(8月21日〜)より。

生活苦もあって叔母のみえが働く料亭「巳佐登(みさと)」で働き始めた寿恵子は、店の常連客・岩崎弥之助の提案で「菊くらべ」が開催されることを知ると、一等の報酬「500円」に惹かれて万太郎に菊の採集を頼むことになります。

この500円というのは明治26年当時はとてつもない大金ですので、現在の貨幣価値の感覚でいくらくらいなのかをまとめます。

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目次

「菊くらべ」一等報酬は500円!

政財界の大物たちが夜な夜な集う新橋の料亭「巳佐登」。あの三菱財閥のトップである岩崎弥之助(皆川猿時)も常連客の一人であり、店の仲居として働き始めた寿恵子(浜辺美波)は今まで知らなかった夜の社交界の遊びの現場を体験していきます。

岩崎弥之助は、お気に入りの新橋芸者・菊千代(華優希)にちなみ、菊を持ち寄る品評会「菊くらべ」の開催を提案します。

なんでも最近、あの大隈重信が菊作りに凝っており全国の菊の名品を収集しているらしく、弥之助は「菊くらべ」で一等になった菊を500円で買い取り、大隈重信にプレゼントしたいのだとか。

誰彼構わず「菊くらべ」に参加してほしいという弥之助の言葉を聞いた店の仲居や台所衆は色めき立ち、勤務初日だった寿恵子も思わぬ大金の提示に顔がほころんでしまいます。

寿恵子はこんなことを頼んでいいのかと少し悩みつつも、万太郎におすすめの菊を採ってきて欲しいと頼んで…。

【放送後追記】結局寿恵子は一等の獲得はなりませんでしたが、寿恵子が語ったノジギクのエピソードは座敷に居た人たちを魅了しています。主催者の弥之助は寿恵子の心意気を気に入り、ノジギクを300円で買い取っています。

【備考】寿恵子の前借り給料は100円

この一等報酬500円がどれほど大金なのかは、前日の放送で提示された寿恵子の「前借り給金」の額でもわかります。

生活苦で叔母の店「巳佐登」を訪ねた寿恵子は、高藤の件でみえから苦言を呈されつつも、100円の給金を前借りする形で仲居として働き始めています。

後述するように、この100円ですら当時の一般的な職業の月給の数ヶ月から1年分に相当しますので、500円というのは目玉が飛び出るような金額なのです。

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明治26年当時の各職業の月給は? 500円=現在の数百万〜2,000万円くらいの感覚か

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第21週放送の時代設定は明治26年(1893年)です。この当時の一般的な職業の月給を「物価の文化史事典」(展望社・森永卓郎監修)からピックアップしてみます。

★明治26年前後の各職業の給料

・総理大臣=月俸 800円(※年俸 9,600円)
・東京都知事=月俸 333.3円(※年俸 4,000円)
・国会議員=月俸66.6円(※年俸 800円)
・東京の公立小学校教員の初任給=月給 5円
・和菓子製造職=平均月給 6円
・東京の機械織職=平均月給 男4円、女3円

・東京の日雇い大工=日当 50銭(※20日働けば10円)
・東京の鍬(くわ)鍛冶職=日当 35銭(※20日働けば7円)

【参考】万太郎が任命される帝国大学理科大学の助手の月俸は15円(※年俸 180円)

この一覧を見るとわかる通り、弥之助が提示した報酬500円は、菓子職人や鍛冶職人、小学校教諭(初任給)の月給約100ヶ月分

彼らの年収の8〜9年分(=庶民の給料の感覚でいうと現在の2,000〜2,500万円くらいの感覚?)に相当するというとんでもない額です。おそらく「巳佐登」の仲居や台所衆などもこのレベルの給金でしょうから、皆が色めき立つ気持ちがわかります。

【おまけ。面倒くさい計算なので読まなくても大丈夫です】
なお、筆者の計算によるとほぼ現在の物価に近いデータである平成27年(2015年)の消費者物価指数は明治26年(1893年)の6,710倍。

単純計算になりますが6,710を掛けると、明治26年当時の500円=現在の335万5千円、明治26年当時の100円=現在の67万1千円くらいの貨幣価値ということになります。

ただし、同様に東京の公立小学校教員の初任給(月給)である5円に6,710を掛けると3万3,550円となってしまい、現在の平均的な教師の初任給=20万円前後とは約6倍の開きが出てしまいます。前述した「明治26年当時の500円=現在の335万5千円、明治26年当時の100円=現在の67万1千円」という計算も、実際には現在ではもっと高額の価値を持っていると考えられそうです。

当時の1ヶ月の生活費はこんな感じ。大体10〜15円で一家が暮らせるイメージ

参考までに、2023年8月21日(月)に放送されたNHK Eテレの教養番組「偉人の年収How much?」の牧野富太郎回で紹介された明治26年当時の一般家庭(3人家族)の家計事情もご紹介します。

番組によれば、明治26年当時の3人家族に必要だった平均的な月の生活費の内訳は以下の通り。※NHKは現在の消費者物価指数を明治26年当時の約6,100倍として計算しているようです。

明治当時の値段現在に換算した値段
家賃 1円50銭9,200円
米代 5円10銭3万1000円
薪・炭代60銭3,700円
油代1銭60円
その他3円10銭1万9000円 
月の生活費・合計10円31銭6万2960円
NHK Eテレ「偉人の年収How much?」より

明治26年当時の槙野家は5人家族(万太郎、寿恵子、千歳、百喜、大喜)であり、家賃が安いとはいえ「10円31銭」よりももう少し毎月の生活費がかかるでしょう。

さらに万太郎の研究には膨大な費用が必要となりますから、たとえ寿恵子が前借りで100円を手に入れたとしても槙野家の家計が火の車なのは明白。槙野家の「大蔵大臣」である寿恵子からすれば、菊の一等報酬500円は是が非でも手に入れたいことでしょう。

寿恵子から菊の採集を依頼された万太郎は、白くて淡い地味な菊「ノジギク」を持ち帰ってくることになります。「菊くらべ」当日、皆が思い思いに華やかな菊を持ち寄る中、寿恵子だけは地味で可憐な「ノジギク」を持参して…。

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