「らんまん」万太郎の月給15円(助手)は安い?現在の貨幣価値でいくら?明治26年当時の物価感覚まとめ

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NHK連続テレビ小説「らんまん」第22週では、徳永教授から誘いを受けた万太郎が帝国大学理科大学の助手として働き始めることになります。

万太郎が提示された月俸(月給)は15円。この金額を現在の貨幣価値に換算すると幾らくらいなのか、槙野家にとって十分な額なのか、当時の物価や貨幣価値から考察してみます。

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目次

月俸15円の助手 7年ぶりに植物学教室に復帰

植物学教室を追放されてから7年あまりが過ぎた明治26年(1893年)。

万太郎(神木隆之介)は新たに教授になっていた徳永(田中哲司)から月額15円で助手にならないかという誘いを受け、帝国大学理科大学に復帰することになります。

3人の子供(千歳、百喜、大喜)を抱えて苦しい生活が続いていた槙野家にとって、15円という定収入は有り難いものとなります。その一方で日本全国を飛び回る研究費を考えると、とても15円では足りそうにありません。

万太郎のモデル・牧野富太郎は、31歳だった明治26年(1893年)9月に月俸15円で帝国大学理科大学の助手に就任しています。人生初のサラリー生活を開始した富太郎でしたが、この時期から毎年のように子供が生まれた上に研究費用もかさみ、家計は火の車でした。

富太郎はついには高利貸しに手を出してしまい、借金が雪だるま式に増えていったそうです(借金額は現在のお金で9,000万円あまりになったとか)。

月俸15円 現在の貨幣価値だと?

2023年8月21日(月)に放送されたNHK Eテレの教養番組「偉人の年収How much?」では、牧野富太郎が初めてもらった月俸「15円」の貨幣価値について考察が行われています。

それによれば、富太郎の月俸15円(=年俸180円)は、現在の貨幣価値に換算すると月俸9万2000円(=年俸110万円)に相当するとのこと(※)。

(※)NHKはおそらく、明治26年(1893年)と現在の消費者物価指数を比較してこの数値を算出していると思われます。92,000÷15=6,133であり、現在の消費者物価指数は明治26年の約6,100倍前後になっているという計算なのでしょう。

筆者が消費者物価指数の各データから独自に計算したところによると、ほぼ現在の物価に近いデータである平成27年(2015年)の消費者物価指数は明治26年(1893年)の6,710倍となっています。NHKが算出した数字に近いですね。

「偉人の年収How much?」では、明治26年当時の3人家族に必要だった月の生活費の内訳も紹介しています。番組に登場したフリップをそのまま引用して以下に表にしてみます。

明治当時の値段現在に換算した値段
家賃 1円50銭9,200円
米代 5円10銭3万1000円
薪・炭代60銭3,700円
油代1銭60円
その他3円10銭1万9000円 
月の生活費・合計10円31銭6万2960円
NHK Eテレ「偉人の年収How much?」より

明治26年頃、家族3人の暮らしにかかる月の平均生活費はおおよそ10円31銭。富太郎の月俸15円はこれを少し上回っていますが、育ち盛りの子供をたくさん抱えた上に研究費も捻出しなければならないとなると、どう考えても足りなさそうです。

ただでさえ浪費家であり、研究(女遊びも…)に没頭していた富太郎ですから、首が回らなくなって高利貸しに手を出す気持ちもわかります。

当時の物価・値段一覧 各職業の月給は?

監修:卓郎, 森永
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森永卓郎氏監修の「物価の文化史事典」(展望社)を参考に、富太郎(万太郎)が助手として働き始めた明治26年前後の各職業の月給、市井のサービスや商品の物価などをまとめてみます。

★明治26年前後の各職業の給料

・帝国大学理科大学の助手 牧野富太郎=月俸 15円(※年俸 180円)

・総理大臣=月俸 800円(※年俸 9,600円)
・東京都知事=月俸 333.3円(※年俸 4,000円)
・国会議員=月俸66.6円(※年俸 800円)
・東京の公立小学校教員の初任給=月給 5円
・和菓子製造職=平均月給 6円
・東京の機械織職=平均月給 男4円、女3円

・東京の日雇い大工=日当 50銭(※20日働けば10円)
・東京の鍬(くわ)鍛冶職=日当 35銭(※20日働けば7円)

これを見ると、富太郎(万太郎)がもらっていた帝国大学理科大学助手の月俸15円は、民間の職業に比べればまずまずといったところ。

当時の公立小学校教員の初任給が5円に対して万太郎の月俸は15円、つまり約3倍です。現在の公立小学校教員の初任給が20万円前後であることを考えると、万太郎の助手としての月俸は現在で言えば50〜60万円を毎月貰うくらいの有り難みがありそうです。

もちろん総理大臣や東京都知事などは別格ですが、普通に生活をする分には悪くないですね。

続いて「物価の文化史事典」を参考に、明治26年前後のモノやサービスの値段、物価をざっと書き出してみます。

★明治26年前後の物の値段

・東京帝国大学の学費(入学年次・法文系・1年分)…明治23年=25円、明治30年=25円
・慶應義塾大学の学費(入学年次・法文系・1年分)…明治23年=30円 明治30年=30円

・鉄道運賃(東京〜大阪)…明治22年=3円56銭、明治33年=3円83銭
・カーボン電球(50W・1個)…明治24年=1円25銭、明治28年=1円
・米の小売価格(10kg)…明治26年=66銭5厘
・さつまいも(1kg)…明治23年=2銭7厘、明治28年=3銭3厘
・日本酒(地酒 上等酒・1升=1.8リットル)…明治28年=21銭
・ビール(大瓶350ミリリットル・1本)…明治25年=14銭
・うどん そば(東京都区部・1杯)明治27年=1銭2厘

・朝日新聞購読料(宅配月ぎめ・1ヶ月)明治26年=28銭
・男の理髪料(東京・大人)…明治27年=4銭

鉄道で東京から大阪に行くだけで3円50銭前後もかかってしまいますので、富太郎(万太郎)の月俸15円だけで全国を駆け回って植物採集をするのは困難だとわかります。

研究費用が必要ないのであれば、月俸15円あればなんとか家族が食べていけそうな感じですね。

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