NHK大河ドラマ「青天を衝け」に登場する徳川斉昭の腹心で水戸藩士の藤田東湖(ふじた・とうこ)についてまとめます。また、藤田東湖を演じる渡辺いっけいの大河ドラマ出演作などもまとめます。
水戸学の大家・藤田東湖
藤田東湖は、後期水戸学の中心人物だった儒学者・藤田幽谷を父に持ち、水戸学藤田派の後継者として、また水戸藩主・徳川斉昭の側近として成果を残した水戸藩士、学者です。
水戸藩士分だった父から家督を継いだ東湖は、水戸藩主継嗣問題の際には徳川斉昭派となり、斉昭が水戸藩主に就任してからは武田耕雲斎、戸田忠太夫らとともに一貫して斉昭を支え続けています。
東湖は斉昭が推進した藩政改革に従事など斉昭の大きな信頼を得て出世するとともに、水戸学の大家として尊王の絶対化を図り、吉田松陰ら尊皇攘夷派の思想に大きな影響を与えました。斉昭が幕府から隠居謹慎処分を受けて共に失脚した際には「弘道館記述義」「常陸帯」「回天詩史」などの書物を著しています。
主君に物言う腹心 大地震で圧死
「青天を衝け」における東湖は、斉昭に対して真っ向から反論をするなど、当時の家来としてはかなり異質な存在として描かれます。
ペリー来航の後には海岸防禦御用掛(かいがんぼうぎょ・ごようがかり)となり、海防参与となった斉昭を補佐しています。東湖は斉昭とともに「外国人嫌い」の感情を露骨に見せますが、次第にそのような時代ではないと気がつき、いつまでも時勢に気が付かず突き進む斉昭とのギャップも見られそうです。
東湖の最期は意外な形でやって来ます。安政2年(1855年)に発生した安政の大地震において自宅で母をかばった東湖は、落下した梁の下敷きとなり圧死。この地震では同じく斉昭の腹心・戸田忠太夫も亡くなっており、斉昭は信頼する部下を一気に失うという痛手を受けています。
▼千波湖のほとりの水戸市梅香1丁目には、「藤田東湖誕生の地」として銅像などが設置されています。
俳優・渡辺いっけい
「劇団☆新感線」「状況劇場」などの人気劇団で活躍し、1992年のNHK朝ドラ「ひらり」で演じた医師役でブレイクして以降名バイプレイヤーとして活躍を続けている俳優・渡辺いっけい(愛知県豊川市出身・58歳)。
NHK大河ドラマは「翔ぶが如く」(1990年)の薩摩藩士・中原尚雄役、「葵 徳川三代」(2000年)の武将・本多正純役、「義経」(2005年)の武将・藤原泰衡役、「龍馬伝」(2010年)の鳥取藩士・千葉重太郎役で出演しており、「青天を衝け」が5作目の作品となります。
また、朝ドラ「風のハルカ」(2005年)ではヒロイン・水野ハルカ(村川絵梨)の父・水野陽介役で出演。当時親子役を演じた村川絵梨が「青天を衝け」では渋沢栄一の姉・なか役で出演しているほか、「風のハルカ」で脚本を担当した大森美香も「青天を衝け」で脚本を担当するなど、不思議な縁が存在しています。