NHK連続テレビ小説「エール」劇中に登場する流行歌「丘を越えて」についてまとめます。
ともに国民栄誉賞を受賞することになる作曲家・古賀政男、歌手・藤山一郎のコンビによる、若き日の傑作です。
【エール】木枯正人が作曲し、山藤太郎が歌う「丘を越えて」
裕一と同時期に「コロンブスレコード」の専属作曲家になった木枯正人(野田洋次郎)ですが、「酒は涙か溜息か」「丘を越えて」をヒットさせ、裕一よりも一足先に売れっ子作曲家の道を歩み始めます。
「エール」では、名曲「丘を越えて」が実際に劇中で歌われていきそうです。
藤山一郎をモデルにした歌手・山藤太郎(柿澤勇人)がレコードに吹き込むシーンが描かれるほか、コロンブスレコードの新人歌手募集オーディションに挑む佐藤久志(山崎育三郎)も、オーディションの課題曲として「丘を越えて」を歌う模様。
柿澤勇人、山崎育三郎ともに数々のミュージカル舞台で鍛え上げられた美声の持ち主であり、彼らが歌う「丘を越えて」が楽しみです。
▼それぞれ古賀政男、藤山一郎、伊藤久男がモデルとなっている「エール」の登場人物たち。
・木枯正人(RADWIMPS・野田洋次郎) モデルは国民的作曲家・古賀政男
・歌手・山藤太郎(柿澤勇人) 国民栄誉賞・藤山一郎がモデル【丘を越えて・青い山脈】
・プリンス・佐藤久志(山崎育三郎) モデルは歌手・伊藤久男「栄冠は君に輝く」「イヨマンテの夜」
【史実】古賀政男・青春のメロディ
▼「丘を越えて」「悲しい酒」「湯の町エレジー」ほか、稀代の作曲家・古賀政男の名曲がまとめられた一枚。Amazon ページ上で全曲視聴ができます。
国民栄誉賞作曲家・古賀政男(木枯正人のモデル人物)の、若き日の傑作「丘を越えて」(昭和6年発表)。もともとは、自身が創設に関わり所属した「明治大学マンドリン倶楽部」のマンドリン合奏曲「ピクニック」として作曲されたものです。
「ピクニック」は、古賀政男がマンドリン倶楽部の後輩たちとともに桜の名所「稲田堤」(神奈川県川崎市)に出かけた折に湧き上がったメロディです。
伸びやかな多摩川の流れと美しい多摩丘陵の自然を背景に、満開の桜の下で仲間たちと酒を酌み交わした古賀政男。上機嫌で下宿に戻ると、学帽に一枚の桜の花びらがついていることに気が付きます。
古賀政男はその花びらを見ると、今日という楽しかった日、青春の若き日は二度と帰らぬと愛おしい気持ちとなり、すぐにマンドリンを手にして思い描くままに「ピクニック」のメロディを作り上げています。
▼「丘を越えて」誕生の地・稲田堤に開通した「ピクニック橋」。
【史実】歌手・藤山一郎が歌い、国民的歌謡曲に
▼古賀政男の才能を開花させた天才歌手・藤山一郎の全曲集。「酒は涙か溜息か」「丘を越えて」「青い山脈」「長崎の鐘」など後世の残る名曲を収録。Amazon ページ上で全曲視聴ができます。
この「ピクニック」のメロディに、作詞家・島田芳文が群馬県長野原町の浅間牧場の風景を思い描いて書き上げたのが、「丘を越えて」の歌詞です。
こうして出来上がった曲「丘を越えて」を国民に愛される歌謡曲として歌い上げたのは、正確無比、豊かな声量を誇る歌手・藤山一郎でした。
古賀政男・藤山一郎のコンビにより先にリリースされた大ヒット曲「酒は涙か溜息か」(昭和6年)とともに、「丘を越えて」も大ヒット。後に国民栄誉賞を受賞する二人にとって、その後の成功を約束させる若き日の傑作となったのです。
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