NHK連続テレビ小説「らんまん」に登場する槙野万太郎の祖母・タキについてまとめます。
タキは「日本の植物学の父」である牧野富太郎の祖母・浪子がモデルになっています。演じるのは朝ドラ「まんぷく」での「ブシムス」キャラも記憶に新しい俳優・松坂慶子です。
祖母・タキに厳しく育てられる万太郎
幕末の土佐で酒造業「峰屋」を営む裕福な家に生まれた、主人公の槙野万太郎(神木隆之介)。
万太郎は早くに父を亡くし、愛情を注いでくれた母・ヒサ(広末涼子)も6歳の時に病死。幼くして両親を失ってしまいます。そんな万太郎を厳しくも愛情深く育てていくのが、祖母の槙野タキ(松坂慶子)です。
タキは夫と一人息子をコレラで早くに亡くし、「峰屋」を女手ひとつで切り盛りしています。曲がったことが許せない正しく強い女性であり、いずれ跡取り息子となる万太郎を立派な男子に育てるべく、時に厳しく万太郎に接していきます。
タキは学を付けさせるために万太郎を学問所「名教館」に通わせることになるのですが、この学問所「名教館」で植物の本や学問の師匠に出会ったことで、万太郎の人生は大きく開いていくことになります。
万太郎は家業の手伝いもそこそこに、どんどんと植物採集に没頭していきます。万太郎を「峰屋」の跡取りにと期待していたタキですが、家業そっちのけの人生を歩み始める万太郎に対しどのような態度を見せていくのか、松坂慶子の演技が楽しみです。
モデルは牧野富太郎の祖母・浪子 富太郎とは血縁なし
「らんまん」に登場する槙野タキは、「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎の祖母・浪子がモデルになっています。
劇中の万太郎同様、早くに両親を亡くした牧野富太郎は浪子の手によって大切に育てられています。浪子は孫の富太郎がとても可愛かったようで、植物に興味を持ち「本草綱目啓蒙(小野蘭山)」という二十冊にも及ぶ専門書を欲しがる富太郎のために、わざわざ大阪から取り寄せたりしてくれたそうです。
土佐の佐川町にあった富太郎の実家は、酒造りと雑貨(小間物)を扱う「岸屋」を経営する裕福な旧家でした。富太郎の父・佐平は親戚から養子に来た人で、母・久壽は家付きの娘。浪子(※後妻)は娘夫婦と夫が相次いで亡くなってしまったために、かわりに家業を切り盛りしていたそうです。
※「牧野富太郎自叙伝 第二部」によれば、富太郎の母は祖父の先妻の娘であり、富太郎を育てた祖母・浪子は祖父の後妻。つまり、富太郎と浪子との間に血縁関係はないそうです。
牧野家にはしっかり者の番頭がいたこと、そもそもが旧家なので商売の決まりごとがはっきりしていたことなどの理由もあり、浪子が采配を振るうようになっても家は傾かず、家業は順調に続いたとか。
小学校を中退した富太郎は、家業を浪子と番頭に任せて植物採集に没頭するなど気ままな生活を送ると、やがて22歳で上京して東京帝国大学理学部・植物学教室に通い始め、植物学の道へと邁進していきます。※浪子はその後、富太郎が25歳の頃に亡くなっています。
富太郎は植物研究のために実家の財産をずいぶんと食いつぶしています。上京の際にも実家のお金をアテにし、その後も書籍費や植物採集の旅行代、子供が出来てからの生活費などをバンバン郷里から取り寄せては使い果たしていきました。良くも悪くも祖母・浪子が家業を守ってくれたからこそ、富太郎は好き放題に自分の興味を追求していけたというわけです。
▼「日本の植物学の父」と呼ばれる偉人・牧野富太郎。その名声とは裏腹に、家族や周囲を振り回し続ける、ちょっとぶっ飛んだヤバい人だなんて話もチラホラ。「らんまん」ではどのように万太郎のキャラクターがアレンジされていくのか、楽しみです。
俳優・松坂慶子
本日、#らんまん の記者会見が行われました🎤
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) March 7, 2023
主人公・万太郎を演じる #神木隆之介 さん、
主人公の子ども時代を演じる #森優理斗 さん
万太郎の母・ヒサを演じる、#広末涼子 さん
そして万太郎の祖母・タキを演じる、#松坂慶子 さんが登壇しました。
会見の様子をお届けします📸#4月3日スタート pic.twitter.com/7dx62GCHKd
祖母・槙野タキを演じるのは、東京都出身の70歳の俳優・松坂慶子(まつざか・けいこ)です。
1970年代からドラマ「奥様は魔女」「なんたって18歳!」への出演や、NHK大河ドラマ「国盗り物語」のヒロイン・濃姫役などで注目を集めると、1980年代には映画「青春の門」「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」「蒲田行進曲」「火宅の人」などに出演して数々の映画賞を受賞。
大河ドラマ「春の波涛」(1985年)、「毛利元就」(1997年)、「篤姫」(2005年)、「花燃ゆ」(2015年)、「西郷どん」(2018年)などにも出演し、大女優としての地位を確立しています。
朝ドラ「ゲゲゲの女房」「あさが来た」「まんぷく」に出演
NHK朝ドラへのデビューは意外にも遅く、2010年の「ゲゲゲの女房」が初出演。ヒロインが何かと頼る調布の貸本屋「こみち書房」の店主・田中美智子役でレギュラー出演をしています。
続く2016年の「あさが来た」では大隈重信の夫・大隈綾子役で出演。賢妻として知られる大隈綾子を見事に演じています。ヒロインあさが日本初の女子大学校を設立するにあたり協力者になってくれた人物ですね。
そして2018年に出演した「まんぷく」では、ヒロイン福子の実母・今井鈴役でレギュラー出演。源義経の末裔を自称し、「私は武士の娘です!」と繰り返すコミカルな鈴のキャラクターが人気となっています。武士の娘を略した「ブシムス」というワードがネット上でちょっとした流行になっています。
▼昨年(2022年)にはNHKドラマ「一橋桐子の犯罪日記」で主演。親友を亡くし人生に絶望して刑務所に入りたがる、人のよすぎるおばあちゃん役を好演してます。近年はコミカルで可愛らしい役柄が多い松坂慶子ですが、「らんまん」では万太郎を鬼の形相で叱りつける場面もたびたび登場するとのこと。