NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第4週では、スズ子が生まれ故郷の香川の大地主・次郎丸(じろうまる)家の法事に出席することになります。
この記事では次郎丸家とスズ子との関係性や、次郎丸家のモデルになっている香川の三谷家についてまとめます。
【ブギウギ】スズ子、香川・次郎丸家の法事に出席
「桃色争議」の決着から1年。ツヤ(水川あさみ)のもとに香川にいる妹の大西タカ(西村亜矢子)から手紙が届きます。
手紙によれば、ツヤの実家(大西家)が営む手袋工場の得意先である大地主・次郎丸家の法事にスズ子(趣里)を出席させてほしいとのこと。次郎丸家はその豪華な家の様子から通称「白壁」と呼ばれています。
次郎丸家の爺さん・次郎丸和一(石倉三郎)が梅丸少女歌劇団(USK)の大ファンであり、スズ子に会いたがっている…。そう聞かされたスズ子はツヤに促されるまま、弟の六郎(黒崎煌代)とともに生まれ故郷の香川を訪ねることになります。スズ子の香川への帰郷は小学生以来となります。
次郎丸家で行われていた法事は、若くして亡くなった和一の息子・菊三郎の十七回忌でした。法事に出席したスズ子は、そこで和一の態度がおかしいことに気がつくと、叔母のタカから衝撃的な事実を聞かされて…。
▼「香川編」の主要メンバー。スズ子の祖母・大西トシ(三林京子・下段中央左)は、次郎丸和一(石倉三郎・下段中央右)の幼なじみ。単なる得意先同士とは思えない大西家と次郎丸家の関係性が、第4〜5週で明かされていきます。
今日は「香川編」に登場するキヌさん、治郎丸さん、トシさんと、ある事情で銭湯「はな湯」にやってくる女性・光子さんをご紹介しました。
— 朝ドラ「ブギウギ」10月2日スタート (@asadora_bk_nhk) September 7, 2023
香川編はモデルの笠置シズ子さんの出生地、香川県東かがわ市と丸亀市でロケを行いました。美しい風景をどうぞお楽しみに💃#ブギウギ pic.twitter.com/X5WJk8CCXM
【史実・ネタバレ含む】モデルは香川・三谷家 笠置シヅ子の出生に関わる地主
「ブギウギ」に登場する次郎丸家は、ヒロインのモデルになっている歌手・笠置シヅ子が17歳の頃に「親戚の法事」と聞かされて顔を出した香川(大川郡相生村黒羽、現在の東かがわ市黒羽)の大地主・三谷家がモデルになっています。
家族に言われるままに大阪から香川へと向かい、三谷家の法事に出席したという笠置シヅ子。
そこでシヅ子は三谷家の人たちに乞われて松竹楽劇部の少女歌劇の演目「春の踊り」などを披露したそうですが、その後に親戚たちが話す噂話を耳にしてしまいます。
その噂話とは、今回の法事(十七回忌)の仏の主である三谷家の亡き跡取り息子・三谷陳平(「ブギウギ」次郎丸菊三郎のモデル)が、シヅ子の実の父親だという衝撃のものでした。
突然自身の出生の秘密を知ってしまい混乱が収まらないシヅ子。慌てて「中島の叔母さん」(「ブギウギ」大西タカのモデル)に事実を問いただすと、実父の件とともに、法事に出席していた谷口鳴尾(「ブギウギ」西野キヌのモデル)という女性が実母であることも知ってしまいます。
※三谷家は近郊に知られる豪農で、代々製糖業を営んでいたそうです。陳平の父、つまりシヅ子の祖父にあたる三谷家の爺さん(「ブギウギ」次郎丸和一のモデル)は漢学者だったというインテリであり、陳平も父から漢学を学んだのだそう。
▼豪農で代々製糖業を営んでいた・三谷家。東かがわ市の黒羽地区には「糖業感謝碑」があり、この地で製糖業が栄えたことを今に伝えます。
【史実・ネタバレ含む】三谷陳平と谷口鳴尾
大阪で銭湯を営む亀井音吉・うめ夫妻(「ブギウギ」花田梅吉・ツヤ夫妻のモデル)の娘として育った笠置シヅ子でしたが、実は音吉とうめが養父母であり、実の親が別に居ることを17歳になるまで知らずにいました。
シヅ子の実父の三谷陳平は、香川県相生村の大地主・三谷家の一人息子として生まれ、郵便局員として働いていました。一方の実母・谷口鳴尾は三谷家に住み込みで和裁を習いつつ家事見習いをしていた若い女性でした。鳴尾は良家の出であり、三谷家の雇われの女中ではなく陳平の母の和裁の生徒だったともされます。
同じ屋根の下に住む陳平と鳴尾はいつしか男女の関係になり、やがて鳴尾は妊娠。しかし二人の結婚が三谷家から大反対されてしまうと、鳴尾は生まれたばかりの赤ちゃん(シヅ子)を連れて相生村に近い引田の実家に戻っています。
※この直後に、陳平は25歳の若さで亡くなっています。シヅ子が17歳の時に陳平の十七回忌に出席したというのも、時系列的に合致しますね。
実家に戻りシングルマザーとして子育てをしていた鳴尾でしたが、乳の出が悪かったことから、たまたま出産のために大阪から帰省していた近所の女性・亀井うめに「もらい乳」を頼んでいました。
やがてうめがシヅ子に情を抱いたこと、鳴尾がまだ10代であり子育てが難しかったことなどもあり、うめはシヅ子をもらい受けることを決意。夫の音吉が待つ大阪に「二人の赤ちゃん」を連れ帰っています。
こうしてシヅ子は亀井家の養女となり、実子たちとともに大切に育てられたのです。
※この里帰り出産で亀井うめが出産した次男・亀井正雄(「ブギウギ」花田武一のモデル)の誕生日はシヅ子と一ヶ月違い。シヅ子と正雄は「一ヶ月違いの姉と弟」として育てられましたが、正雄は3歳のときに病死してしまいます。シヅ子は、弟の正雄と誕生日が一ヶ月しか違わないことを薄々知っていたようです。
香川での体験により、養父母への感謝が深まる
以上の史実からも、「ブギウギ」では次郎丸家の登場とともに、スズ子の出生の秘密が明かされていきそうです。
笠置シヅ子は法事の後に実母の谷口鳴尾に直接会いに行ったそうですが、鳴尾の横には小さい男の子が居た上に、鳴尾の態度が思いのほかよそよそしかったのだそう。結局互いに実の母子であることを名乗ることもなく、二人は別れたそうです(もちろん当人同士はわかっていたはず)。
シヅ子はこの香川での出来事を「両親」の音吉とうめには決して話さず、心のうちに秘めて生きていったそうです。
結果的に養父母に対する感謝と愛情を深めることとなった香川への束の間の滞在。「ブギウギ」でも出生の秘密を知ったスズ子が改めて梅吉・ツヤへの感謝の気持を深めていくものと思われます。