NHK連続テレビ小説「なつぞら」に登場する東洋動画制作の(架空の)アニメ作品「白蛇姫」についてまとめます。
「白蛇姫」は、東映動画が日本最初のカラー長編漫画映画として1958年に公開した「白蛇伝」がモデルになっています。
なつの初めての挑戦「白蛇姫」
「白蛇姫(はくじゃひめ)」は、なつが東洋動画に入社し、仕上係として初めて漫画映画の製作に関わることになる作品です。
「新東京動画社」を買収し、新しい映画スタジオを完成させた東洋動画にとっても初めて挑戦するカラー長編漫画映画であり、社運を賭けたビッグ・プロジェクトとなります。
「白蛇姫」のストーリー 許仙と白娘の恋の物語
「白蛇姫」のストーリーは、中国の民間に古くから伝わる寓話「白蛇伝」がベース。中国・西湖の湖畔に住む優しい青年・許仙(しゅうせん)と、市場で見世物にされているところを彼に助けられた白蛇との恋の物語です。
優しい許仙に恋をした白蛇は、ある嵐の夜に美しい人間の娘・白娘(ぱいにゃん)に変身し、許仙のもとに現れます。
再会した白娘と許仙は恋に落ちていくのですが、そんな二人の関係を引き裂くのが、法力を持った高僧・法海(ほっかい)です。白娘がかつて王が滅ぼした城の姫の生まれ変わりである事に気がついた法海は、許仙の身の危険を察知。許仙と白娘のもとに兵を送り、戦いを挑んでいきます。
許仙は捕らえられ、白娘は嘆き悲しみます。
そしてついに法海と白娘との最終決戦を迎えます。魔術を駆使して激しく戦う白娘ですが、ついに法海に敗れると、自分の身体の半分が白蛇に戻りかけていることを知ります。もう愛する許仙と会えないと悟った白娘は悲しい表情を浮かべ…。
▼高校時代、なつが演劇部で演じた「白蛇伝説」は北海道の民話をベースにした別のお話。
・【なつぞら】演劇「白蛇伝説」あらすじ、モチーフとなった民話は?
モデルは「白蛇伝」
「白蛇姫」のモデルになっている「白蛇伝」(1958年公開・79分)は、東映動画による日本最初のカラー長編漫画映画です。ベニス児童映画祭でグランプリを受賞したほか、文部省芸術祭に参加して奨励賞を受賞、文部省選定(少年向・家庭向)映画になるなど、国内外で高い評価を獲得しています。
現在に連なるジャパン・アニメーションの原点とも言える記念碑的な作品であり、高校時代の宮崎駿が衝撃を受けてアニメーターの道に進むキッカケとなった作品としても知られます。
白蛇と人間の恋物語
ストーリーは概ね「白蛇姫」と似ており、西湖の湖畔に住む優しい青年・許仙と白蛇の化身・白娘との恋の物語です。
公開時のキャッチコピーは「蛇精の姫、幻術使い、珍獣の数々の乱舞跳梁」。スペクタクルや特殊効果に重点が置かれ、ミュージカル風の楽曲や可愛らしい動物が登場するなどエンターテインメント性の高い作品となっています。
「東洋のディズニーになる!」東映動画最初の金字塔
制作は東映動画の黎明期を支えた藪下泰司の監督・演出のもと、森康二・大工原章というダブルエースが原画を担当。二人の下に「セカンド」と呼ばれる6人のクリエーター(大塚康生、坂本雄作、中村和子ら)が配置され、製作期間わずか8ヶ月という驚くべきスピードで完成しています。こうしたスタッフの構成や制作過程も、概ね「なつぞら」劇中で再現されていきます。
東映社長・大川博(「なつぞら」では大杉満=角野卓造=として登場)の「東洋のウォルト・ディズニーになる!」という大号令を受けて開始された、東映のアニメーション・プロジェクト。日動映画の買収、巨大最新スタジオの建設(練馬・大泉)、スタッフの大量雇用と育成など数年がかりで推し進められたビッグ・プロジェクトの集大成が、名作「白蛇伝」として結実したのです。
▼東映・大泉スタジオ(東京都練馬区東大泉)の最寄り、西武池袋線・大泉学園駅の北口には「ジャパンアニメーション発祥の地」(白蛇伝)を記念する「大泉アニメゲート」があります。練馬区、杉並区はアニメ制作会社が多く、アニメタウンとして地域活性化を図っています。
▼「白蛇伝」をはじめ、練馬区で生まれたアニメ作品が並びます。
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