「らんまん」田邊教授のトガクシソウ(戸隠草) 植物学教室「破門草事件」の引き金に?

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NHK連続テレビ小説「らんまん」6月23日(金)放送の第60回では、万太郎の標本・マルバマンネングサとともに、田邊教授の標本・トガクシソウ(戸隠草、トガクシショウマ)が新種、新属と認められるという嬉しい出来事が発生しています。

史実ではこのトガクシソウをめぐり「破門草事件」と呼ばれるトラブルが発生しており、ドラマでも教室内の波乱が描かれるかも知れません。

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万太郎と田邊教授 同時に嬉しい報せ

第60回放送では、高知に里帰り中の万太郎(神木隆之介)のもとに、植物学教室の友人である波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)から手紙が届いています。

その手紙によれば、ロシアの植物学の権威・マキシモヴィッチ博士に提出していた植物標本のうち、万太郎が高知で発見した「マルバマンネングサ」が新種に、田邊教授(要潤)が教室にもともと所蔵していた「トガクシソウ」が新属に認められたというもの。

万太郎はマルバマンネングサの学名に「Sedum makinoi Maxim(セドゥム・マキノイ・マクシム)」という自らの名が刻まれたことを寿恵子(浜辺美波)や竹雄(志尊淳)とともに大喜び。一方の植物学教室でも、普段は無愛想な田邊教授が思わず笑みを見せるなど、喜びの空気に包まれます。

マキシモヴィッチ博士はトガクシソウをメギ科の新属と認めた上で、正式に学会で発表するためにさらに追加で花の標本を送って欲しいと植物学教室に依頼。このプロセスを経て、トガクシソウが正式に世界的に認められるという流れになります。

ただし、この一連のシーンの最後にはナレーション(宮﨑あおい)により「このマキシモヴィッチ博士による新種の認定は、日本の植物学界に一大波乱を巻き起こすことになるのです」という少し不穏な言葉が添えられています。

トガクシソウの学名は在野の学者・伊藤篤太郎が命名

劇中で扱われたトガクシソウ(戸隠草)は、メギ科トガクシソウ属の多年草。トガクシショウマ(戸隠升麻)という別名で呼ばれることもあります。学名は「Ranzania japonica (T.Itô ex Maxim.) T.Itô」。

このトガクシソウは伊藤篤太郎(いとう・とくたろう)という植物学者によって学名が付けられており、「日本人が学名を付けた最初の植物」として知られます。

同時に、このトガクシソウの命名を巡り伊藤篤太郎矢田部良吉教授(「らんまん」田邊教授のモデル)との間で「破門草事件」というトラブルがあったことでも知られています。

※伊藤篤太郎は牧野富太郎と同様に、東京大学植物学教室に出入りを許されていた在野の植物学者。祖父は東京大学教授で著名な本草学者だった伊藤圭介で、早くから東京の祖父の下で植物学を学んでいます。東京大学医学部予科を病気のために退学した後に私費で英国に留学。ケンブリッジ大学で最新の植物生理学などを学び、キュー王立植物園内植物学研究所で植物分類学を研究。帰国後は愛知県愛知郡尋常中学、鹿児島高等中学造士館などで働きながら在野の植物学者として活躍しています。

「らんまん」では落合モトキが演じる若き植物学者・伊藤孝光として登場。

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破門草事件 矢田部教授と伊藤篤太郎のトガクシソウ

★トガクシソウと破門草事件の時系列まとめ

▼伊藤篤太郎
1875年…伊藤篤太郎の叔父が戸隠山で採集
1883年…伊藤篤太郎、標本をマキシモヴィッチに送る
1886年…伊藤篤太郎の名でロシアの学術誌に掲載
1888年10月…矢田部の動きに先立ち、イギリスの植物学雑誌に学名「ランザニア・ジャポニカ」として発表

▼矢田部良吉
1884年…矢田部教授が戸隠山で採集
1887年…矢田部教授、マキシモヴィッチに標本を送る
1888年3月…マキシモヴィッチから返答 追加の標本を求められる
1888年10月以降…自分に先立った伊藤篤太郎に激怒、破門(破門草事件)

この事件から少しさかのぼる1875年(明治8年)。まだ未知の植物だったトガクシソウは伊藤篤太郎の叔父により長野の戸隠山で採集され、小石川植物園に植栽されていました。

1883年(明治16年)に篤太郎がその標本をロシアのマキシモヴィッチ博士に送ると、1886年(明治19年)にはロシアの学術誌に「Podophyllum japonicum T.Itô ex Maxim.(ポドフィルム・ジャポニクル)」の名でメギ科ミヤオソウ属の一種として掲載されています。

それと前後するように、1884年(明治17年)に東京大学植物学教室の矢田部良吉教授が戸隠山でトガクシソウを採集。

矢田部教授は1887年(明治20年)にマキシモヴィッチ博士にトガクシソウの標本を送って鑑定を仰いだところ、翌1888年(明治21年)にマキシモヴィッチ博士からの手紙により「本種はメギ科の新属であると考えられ、Yatabea japonica Maxim. という学名をつけたい。それにあたり、正式発表前に追加で花の標本を送ってほしい」という回答を得ています。

当時植物学教室に出入りしていた伊藤篤太郎は、教室所属の大久保三郎助教授(「らんまん」大窪助手のモデル)からこの手紙の内容を知ると、自分が先に発表したはずの植物に「Yatabea」の学名が付いてしまいそうなことに焦ったようです。

大久保助教授は伊藤篤太郎に対し先に名を付けたりしないように念を押したそうですが、伊藤篤太郎はイギリスの植物雑誌「ジャーナル・オブ・ボタニイ」に新属 Ranzania T.Itô を提唱した上で「Ranzania japonica (T.Itô ex Maxim.) T.Itô =ランザニア・ジャポニカ」という学名を付してこの植物を公表。

こうして伊藤篤太郎の発表が先に出てしまったため、マキシモヴィッチ博士と矢田部教授が推し進めていた「Yatabea japonica Maxim.」という学名は無効になってしまいます。

矢田部教授と大久保助教授は、この伊藤篤太郎の行為に激怒。矢田部教授は伊藤篤太郎を「破門」とし、教室への一切の出入りを禁止してしまいます。こうしてトガクシソウは「破門草」と密かに呼ばれるようになり、一連のトラブルは「破門草事件」と呼ばれたとか。

田邊教授「私のトガクシソウが…」 若き植物学者・伊藤孝光が登場予定

▼新たな登場人物として、伊藤篤太郎に相当すると思われる伊藤孝光(落合モトキ)なる若き植物学者が発表されています。伊藤孝光は伝説の本草学者である伊藤圭介の孫という設定。

今後、伊藤篤太郎がモデルと思われる若き植物学者・伊藤孝光(落合モトキ)が登場することなどから、「破門草事件」が劇中でも描かれることが予想されます。

マキシモヴィッチ博士からの手紙を受け取った田邊教授は、例によって「私のトガクシソウが…」と自分スゴイアピールをしており(第60回)、「破門草事件」の伏線にも感じます。

史実を参考にすると、今後田邊教授のブラックな面が徐々に露呈していくことが予想されます。演じる要潤の怪演が楽しみですね。

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