NHK連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」12月24日放送(第40回)では、るいが「竹村クリーニング店」の竹村夫婦に履歴書を見せ、ここで働かせてほしいとお願いする場面が描かれています。
このシーンで登場したるいの履歴書の内容を書き出しておきます。劇中では詳しくは語られませんでしたが履歴書を見る限り、るいは高校卒業を待たずに岡山を飛び出し、新しい人生をスタートさせたようです。
るいの履歴書の内容
るいが竹村夫婦に提出した履歴書の内容は以下の通り。
履歴書は縦書きで、達筆な筆文字により丁寧に書かれており、るいの育ちの良さが表現されています。
履歴書
本籍 岡山県岡山市弓丘町一丁目三??
現住所 岡山県岡山市弓丘町一丁目三??
雉真稔長女 雉真るい 昭和19年9月14日生
学歴
昭和32年3月 岡山市立雛丘小学校卒業
昭和35年3月 岡山市立弓丘中学校卒業
昭和35年4月 岡山県立弓丘高校入学
昭和36年10月 岡山県立弓丘高校中退
特技
昭和36年6月 そろばん検定一級取得
賞罰
学校図書協議会主催読書感想大会で金賞
身上異動
なし
右記の通り相違ありません
昭和37年4月5日 右 雉真るい
高校中退、そろばん一級、読書感想金賞
この履歴書により、劇中で描かれなかったるいの空白の10年余りが想像できます。
①るいは公立学校に通い、高校2年時に中退している
お嬢様育ちのるいですが、学校は私立ではなく地元の公立学校(雛丘小→弓丘中→弓丘高)に通っていたようです。叔父の勇が旧制・弓丘中学校の野球部所属でしたので、るいは勇と同じ学校に通っていたことになります。
そして意外だったのが、「昭和36年10月 岡山県立弓丘高校中退」という学歴。この履歴書を提出したのが「昭和37年4月5日」ですので、その半年前に高校を中退しているということになります。
入学が昭和35年4月、中退が昭和36年10月なので、るいは高校2年生の秋に中退をし、高校3年相当の春(昭和37年4月=17歳)に大阪に飛び出したことになります。
※NHKの事前予告文では「安子の娘として雉真家に生まれ、18歳まで岡山で育つ。」と書かれていましたが、履歴書通りならば1年前倒しになっていますね。
②そろばん検定一級取得
るいは昭和36年6月、つまり高校を中退する4ヶ月前に「そろばん検定一級」を取得しています。そろばんは10級から1級までの区分があり、1級が最難関。2021年の珠算能力検定では、1級の合格率は29.2%になっています。
祖父の千吉、あるいは叔父の勇の意向があってそろばんを習っていたのでしょうか。
③作文が得意?
賞罰の欄には、「学校図書協議会主催読書感想大会で金賞」と書かれています。
亡き父・稔の秀才ぶり、言語能力の高さを受け継いだのか、るいは文才を持っている可能性があります。
「岡山でキジマいうたら学生服の雉真か?」「はい、親戚です」
履歴書を見た竹村夫婦は、すぐにるいの育ちの良さを見抜きます。
和子「雉真るいちゃん…岡山の子かい」
平助「岡山でキジマいうたら、学生服の雉真か?」
るい「はい、親戚です」
和子「あの大きな会社!やっぱり育ちがええんやねえ」
平助「そないなええとこの子が、なんでまたうちみたいな店で…」
るいはとっさに「雉真繊維の雉真家とは親戚」だと発言しています。正確に言えばるいは雉真の「親戚」ではなく「家族の一員」そのものであるのですが、やはり複雑な感情があるのでしょうね。
何やら陰がありそうだけど、しっかりとした良い子であるのは間違いないるい。
平助は「わからんなあ、他になんぼでもええ就職先がありそうやけどなあ…」と首をかしげますが、和子はすぐにるいのやんごとなき事情を感じ取り、「あんた、大事にしてあげような、あの子のこと」と平助に語りかけています。
こうして竹村家に住み込みで働くことになったるいは、大阪の地でさまざまな人々と出会い、人生の転機を迎えていくことになります。