NHK連続テレビ小説「らんまん」7月4日(火)放送の第67回より。
万太郎と寿恵子を自邸に招いた田邊教授は、いつにも増して嫌味やパワハラを連発。ついには万太郎に対して「私のものになりなさい」と言い放っています。この衝撃発言の意味するところを読み解きたいと思います。
自邸で嫌味を連発 ついに田邊教授が本性を発揮か
何かと周囲を威圧し、学生たちから恐れられている東京大学植物学教室の田邊彰久教授(要潤)。
前日の第66回の放送では、万太郎(神木隆之介)が土佐で新たに採集してきた標本を皆に見せようとするのを制止して「君が採集した植物は今後私がいちばんに見ることにしよう。」と発言するなど、不穏な空気を漂わせています。
結婚祝いの名目で万太郎と寿恵子を自邸に招いた田邊教授は、ホームグラウンドゆえの強気さからか、槙野夫妻に対して嫌味を連発しています(第67回)。
二度目の対面となる寿恵子(浜辺美波)に対しても、「あの高藤雅修のもとを鮮やかに去った貴女」「妾腹の娘」「君は相手がどれほどの地位であろうとも奪うものは奪う」などと強烈な言葉を浴びせています。
田邊教授「私のものになりなさい」
自分の手では発表できないと言われてしまった万太郎。
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) July 3, 2023
田邊教授にどうしたらよいかと尋ねるも、大学に通うか留学しなさいと言われてしまいます。
「――学歴がすべてゆうことで」
「ああ」#朝ドラらんまん#神木隆之介 #要潤 pic.twitter.com/SLAje2bQNI
表向きは「結婚祝い」として槙野夫妻を呼び寄せた田邊教授でしたが、本当の目的は別のところにありました。田邊教授は、万太郎にある要求を突きつけようと考えてようです。
万太郎と二人きりになった田邊教授は、万太郎の植物採集の天性を認めつつも、学歴も肩書も持たない万太郎に対し「君は決して自分の手で(新植物を)発表出来ない」と牽制。万太郎を「素人」とこき下ろしつつ、植物学のアカデミズムの世界に万太郎の居場所はないと威圧します。
そこまで言われても、植物の道を極めたいという気持ちに一切の揺るぎがない万太郎。「わしはどうしたらえいがでしょうか」と聞く万太郎に対し、田邊教授は東京大学への入学、または留学という2つの提案をします。
わざわざそんな遠回りをする必要性が理解できないと反論する万太郎に対し、田邊教授は「最後の提案」を提唱。「私のものになりなさい」などととんでもないことを田邊教授が言い出したところで、この日の放送は終了しています。
※おそらく田邊教授は、万太郎が東大への入学や留学を望まないことなど百も承知だったのでしょう。「私のものになりなさい」という要求を言いたいがために、ネチネチと万太郎を威嚇し、非現実的な提案(東大入学・留学)を突きつけたのだと思われます。
「では、最後の提案だ」
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) July 4, 2023
「私のものになりなさい」#朝ドラらんまん#神木隆之介 #要潤 pic.twitter.com/ThbMxr9Kjw
田邊発言の真意「専属のプラントハンターになれ」
この「私のものになりなさい」発言の真意ですが、今後のあらすじを読む限り、「田邊教授専属のプラントハンターとして雇われる」という意味のようです。
今後は田邊教授のために植物を探し、新種の発表は田邊がする…。手柄はすべて田邊教授が総取りし、万太郎はその手足(奴隷?)となって働くという極めて不平等な契約です。
以前、教室所属の画工・野宮朔太郎(亀田佳明)が「この教室では植物を愛するよりももっと大事なことがある。(田邊教授に)逆らってはいけませんよ」と発言していましたが、その真意を万太郎も実感していくことになりそうです。
万太郎は田邊教授の提案を拒否し、自分の力だけでは植物の名付け親になれないのかと深く落ち込んでいくことになります。
【第68回・追記】田邊教授、ついに本性発揮
翌日放送の第68回では、田邊教授のオファーを万太郎が断っています。万太郎は、植物学教室への出入りを許してくれたご恩に報いるために今後も誠心誠意植物学のために尽くしたいと語りますが、田邊教授は「後悔するぞ。何の身分もない何の保証もない小学校を出とらん虫けらが、何を言っても無駄だ!お前は私にすがるしかない!」と万太郎に吐き捨てています。
急速に力をつけてきた万太郎を警戒?
なぜこのタイミングで田邊教授が万太郎に対して牙を向いてきたのか。
おそらく、万太郎が発見した「マルバマンネングサ」が田邊教授の「トガクシソウ」よりも先にマキシモヴィッチ博士から新種認定されたことが、田邊教授の焦りを誘発しているのでしょう。
田邊教授としては、「どこの馬の骨ともわからない土佐の田舎者(万太郎)を都合よく使ってやろう」くらいの気持ちで万太郎を植物学教室に招き入れたことかと思います。しかし、見下していたはずの万太郎が植物学教室のメンバーの人心を掌握し、植物学の世界でも実績を出し始めたとあっては面白くありません。
田邊教授は今後、「トガクシソウ」を巡り若き植物学者・伊藤孝光(落合モトキ)とトラブルを起こすことになります。急速に本性を露わにしつつある田邊教授が、万太郎に対してさらなる圧力をかけていく今後の展開も予想されます。
※史実でも、何者でもなかった植物学教室出入りの若者・牧野富太郎が急速に力をつけ、植物学界で名を轟かせるようになったタイミングで、矢田部良吉教授(田邊教授のモデル)は富太郎に対して「驚くべき行動」を起こしています。