「らんまん」動物学教授・美作秀吉(山本浩司) モデルは箕作佳吉博士(+兄の菊池大麓?)か

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NHK連続テレビ小説「らんまん」に登場する東京大学の動物学教授・美作秀吉についてまとめます。

この美作秀吉という人物は、名前や人物設定から日本で初めての動物学教授となった箕作佳吉(みつくり・かきち)がモデルになっている可能性があります。

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【らんまん】田邊教授のライバル 動物学教授の美作秀吉

著:長田 育恵, 監修:NHKドラマ制作班, 編集:NHK出版
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美作秀吉(山本浩司)は、東京大学において日本で初めて動物学教授になった人物です。美作の兄も東京大学の教授で将来の学長と目されているエリートであり、美作自身も学者として出世街道を歩んでいるようです。

7月10日(月)の第71回放送では、美作が海洋生物の研究で目覚ましい成果をあげていることを植物学教授の田邊彰久(要潤)に自慢。美作はまだ実績を出せていない植物学教室のことを小馬鹿にしています。

美作はさらに畳み掛けるように、女子の高等教育に熱意を持つ田邊に対し、「嫌々ながら」御茶ノ水の高等女学校の校長に就任したことを報告。

美作は田邊が同女学校の生徒だった聡子(中田青渚)を後妻に迎えたことを揶揄するように、「どうです、我が女生徒を妻にした感想は。教育の成果はいかがです?」と嫌味をぶつけています。

同じ生物学分野の教授として、美作と田邊はバチバチと火花を散らし合うライバル関係のようです。

▷山本浩司(やまもと・ひろし)…福井県福井市出身の48歳の俳優。映画「どんてん生活」「ばかのハコ船」「リアリズムの宿」などで主演。朝ドラ「朝がきた」(2018年)でふゆの縁談相手・山本平蔵役、「エール」で村野鉄男の父・善治役を演じている。

田邊が女学校校長に就任 立場が逆転

美作教授に対し後れを取っていた田邊教授でしたが、洋行の際に世話になった恩人・森有礼(橋本さとし)が文部大臣に就任すると、その風向きが変わっていきます(7月28日・第85回放送)。

森有礼は田邊のために大臣の権力を行使したらしく、美作は御茶ノ水の高等女学校の校長の座を突然追われ、その後任に田邊が収まったのです。

美作は「政治にご熱心なようで。ご熱心なあまり本業がおろそかにならいといいですな。ただでさえ植物学教室はたいした業績を出せていないようですが。」と田邊に精一杯の嫌味をぶつけています。

「卑劣な小説」の黒幕は美作と丈乃助?

第19週では、田邊教授の私生活を揶揄したかのような卑劣な新聞小説が世を賑わせています。

女学校の校長「田口」が女生徒「里江」に手を出してしまうというセンセーショナルな内容の小説を読んだ民衆は、そのモデルと思われる田邊の自宅に押し寄せて「破廉恥だ」「高等女学校なんぞ作るから世の風紀が乱れる!」と大騒ぎ。

ネット上ではこの小説は田邊に恨みを持っていた美作がリークし、近々原稿料が入るとはしゃいでいた東京大学の文士・堀井丈乃助(山脇辰哉)が書いたのでは?という予想も出ていますが果たして…。

その後、田邊の後ろ盾だった文部大臣の森有礼が暗殺されると再び田邊と美作の力関係が逆転。田邊が校長を務めていた女学校が強制的に廃止されるなど田邊の立場が危うくなっていき、ついには田邊の大学追放へと至ります。

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モデルは動物学教授・箕作佳吉博士(+兄の菊池大麓?)か

この美作秀吉(みまさか・しゅうきち?ひできち?)というキャラクターは、東京帝国大学理科大学で日本人として初めて動物学教授に就任した箕作佳吉(みつくり・かきち)博士がモデルになっている可能性があります。

慶應義塾に学び、アメリカのイェール大学、ジョンズ・ホプキンズ大学、イギリスのケンブリッジ大学などに留学した経験を持つ箕作佳吉。

帰国後に東京帝国大学理科大学で日本人として最初の動物学の教授になると、後に東京帝国大学理科大学の学長(1901〜1907年)を務めるまでに出世しています。

また、1887年には東京高等女学校の校長に就任していますが、翌年には矢田部良吉(田邊教授のモデル人物)に校長の座を受け渡していますので、「らんまん」の美作教授の設定とほぼ一致します。

兄の菊池大麓が矢田部教授と権力闘争

東京大学(東京帝国大学理科大学)植物学教室で初代教授を務めた矢田部良吉は、牧野富太郎(万太郎のモデル人物)を教室から追放した後、大学内の権力闘争に破れて突然大学を罷職(追放)されています。

この時に闘争を繰り広げた相手は、箕作佳吉の兄にあたる東京帝国大学理科大学の教授(数学者)・菊池大麓(きくち・だいろく)だったとされます。※菊池大麓は後に東京帝国大学理科大の学長・総長を務めています。

菊池大麓は教室を追放された富太郎の話を聞き「それは矢田部がけしからぬことだ」とおおいに同情心を寄せてくれ、矢田部が失脚した後には、富太郎が松村任三教授(徳永教授のモデル人物?)の下で助手になれるように推挙をしてくれたそうです。

牧野富太郎と学長・箕作佳吉との関わり

牧野富太郎の自叙伝には、東京帝国大学理科大学の学長になっていた箕作佳吉との関わりについても言及されています。

同大学で助手として働いていた富太郎は松村任三教授との対立もあり、なかなか給料が上がらないことを箕作学長に相談しています。これに対し学長は「君の給料を上げてやりたいが、松村君を差し置いては出来ない」と返答したとか。

その一方で、松村教授が富太郎の存在を疎ましく思って罷免しようと企むようになると、箕作学長はそうはさせまいと守ってくれたようです。

「らんまん」の美作教授のキャラクターは、箕作佳吉という人物をメインのモチーフにしつつ、矢田部良吉と闘争を繰り広げた兄の菊池大麓の要素も加えて創作されているのでないかと推測します。

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