NHK連続テレビ小説「らんまん」第20週では、借金を重ねた万太郎のもとにコワモテの借金取り・磯部傅六(六平直政)が訪問。寿恵子が応対する姿が描かれていきます。
この一連のエピソードは、牧野富太郎の妻・壽衛子が借金取りとの交渉を行っていた史実がもとになっています。
【らんまん】コワモテの借金取り・磯部 実はいい人…?
第二子となる千歳の誕生から三年あまり。寿恵子は幼い二人の子供を育てながら、さらにお腹にも新たな生命を授かっていました。
寿恵子の理解と協力により万太郎は植物の研究に邁進する日々を送っていましたが、家族が増えたこともあって家計は火の車。万太郎の研究費用もかさみ、一家の借金は膨れ上がっていました。
そんなある日、十徳長屋にコワモテの借金取り・磯部がやって来ます。
万太郎は寿恵子のサイン(※借金取りが来訪時は赤旗を掲げる)に気がつくと、たまたま家に遊びに来ていた波多野、藤丸とともに物陰に隠れて事態を見守るばかり。どうやら借金取りへの応対はすべて寿恵子が行っているようです。
厳しい表情で金を返せと寿恵子に迫る磯部。しかし寿恵子は一歩も引かず、馬琴先生の話などを引き合いに出しながら、万太郎の研究がいかに将来性があり世の中の役に立つかを磯部に力説します。
寿恵子の話にすっかり魅了された磯部は、上機嫌で追加の融資となる200円を置いていき…。
※六平直政といえば、顔は怖いのに実はいい人!というキャラクターを演じるのが得意。後述しますが朝ドラ「まんぷく」で演じた囚人役に続き、今回の磯部役もまた「実はいい人」キャラになりそうです。
▼頼みの峰屋も没落し、物語後半では家計や研究費のやりくりが大きなテーマになっていきます。史実では、あの岩崎家も借金に苦しむ牧野富太郎を助けたとか…。
【史実】出産3日目の身体で借金取りと交渉を行った壽衛子
金に無頓着な夫・万太郎にかわり、妻の寿恵子が借金取りの対応を一手に引き受ける…。この一連のエピソードは、寿恵子のモデル人物である牧野壽衛子(牧野富太郎の妻)の逸話がモチーフになっています。
牧野富太郎は晩年、妻との日々を振り返り、自身が植物学の分野で偉業を成し遂げられたのは何よりも妻の壽衛子の尽力のおかげだったと述懐しています。
特に、子供が13人生まれて(※そのうち無事に育ったのは三男四女)貧乏生活に陥っていた時期には、牧野家の借金はかさむ一方で、家計は火の車でした。
家にはたびたび借金の返済を求めて債権者がやって来たそうですが、壽衛子は何かと理由をつけてこれを追い払ってくれたそうです。
ある時などは、壽衛子がまだ何人目かの子を出産してから三日目(!)にもかかわらず床から起き上がり、遠路はるばる債権者のもとまで歩いて行き、返済猶予の交渉を行ってくれたそうです。
金に無頓着で社会性にも乏しかった富太郎は、そんな時は決まって奥の部屋で好きな植物標本をいじっているだけ。厄介事があると壽衛子が表に立ってくれたのです。
壽衛子はそんな夫のことを「まるで道楽息子を一人抱えているようだ」と冗談めかして笑っていたそう。こうした実際のエピソードを参考に、六平直政演じる借金取り・磯部と寿恵子が「対決」する第20週のストーリーが創作されているようです。
コワモテの名優・六平直政 「まんぷく」以来の朝ドラ
▼2023年秋に放送されるドラマ「おいしい給食 season3」(テレビ神奈川、TOKYO MXほか)にも出演予定。
📺「#おいしい給食 season3」
— 【公式】ドラマ『おいしい給食 season3』2023年10月より放送スタート❗ (@oishikyushoku) August 8, 2023
╎✍コメント到着╎
🏫PTAの幹部にして
水産加工会社を経営する完食推進派
白根澤仁 / #六平直政
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2023年10月より放送スタート❗ pic.twitter.com/QGJLmdFBwY
六平直政(むさか・なおまさ)は、東京都中野区出身の69歳の俳優。
若き日には劇団状況劇場への参加を経て、新宿梁山泊の旗揚げにも参加。その後は長年にわたり刑事役、犯人役、ヤクザ役、三枚目役などでテレビドラマ、映画で活躍。コワモテの顔面(だけど実はいい人パターンも多い)を武器に、唯一無二の個性派俳優として人気になっています。
ざっとあげるだけでも、TBS系日曜劇場「JIN-仁-」の遊廓の楼主・鈴屋彦三郎役、「テセウスの船」の村のまとめ役・井沢健次役、TBS系刑事ドラマ「ハンチョウ〜警視庁安積班〜」の鑑識課第四分室主任・丸岡喜一郎役、テレビ朝日系ドラマ「トリック」の自称民俗学者・南方熊作役、フジテレビ系SF特撮ドラマ「NIGHT HEAD」のマインドコントロール能力者・曽根崎道夫役など、クセが強いキャラクターが目白押し。人情モノ、ヤクザモノ、刑事モノなど、幅広いジャンルの作品で名脇役として活躍を見せています。
これまで、NHK大河ドラマは「太平記」(1991年)の宍戸知家役、「元禄繚乱」(1999年)の奥田孫太夫役、「義経」(2005年)の土佐坊昌俊役、「八重の桜」(2013年)の黒河内伝五郎役など複数の作品に出演をしていますが、朝ドラに関しては意外にも2018年の「まんぷく」が初出演だったようです。
「まんぷく」で六平直政が演じたのは、東大阪分遣隊に拘留されていた囚人(牢名主)・稲村大悟役。主人公の萬平(長谷川博己)が無実の罪でぶち込まれた雑居房で出会う、コワモテの囚人役でした。
六平直政が演じる役柄に有りがちですが、稲村大悟はイカツイ顔に似合わず心の優しい男。牢屋生活の絶望の中で衰弱していく萬平を励ますという、重要な役どころでした。あまりに牢屋が似合いすぎる六平直政の姿に対し、朝ドラファンからは喜びの声があがっています。