NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第44回では、ジョーが吹く「On the Sunny Side of the Street」を聴いたるいが動揺し、「いつどこでどうして聞いたのか思い出せない」と困惑する様子が描かれています。
幼少期のるいがどのようなシチュエーションで「On the Sunny Side of the Street」を聴いたのか、備忘録としてまとめておきます。
ジョーの美しい「On the Sunny Side of the Street」
第44回では、ジャズ喫茶「Night & Day」に洗濯物を届けたるい(深津絵里)が、トランペッター・ジョー(オダギリジョー)が住む屋根裏部屋に足を踏み入れる様子が描かれています。
ジョーはるいの前で、ルイ・アームストロングの名曲「On the Sunny Side of the Street」をトランペットで吹きはじめます。
当初はジョーが奏でる音色に聞き惚れていたるいでしたが、次第に心の奥底から湧き上がる不穏な気持ちを感じとると、そのまま屋根裏部屋から立ち去ってしまいます。
ジョーが吹いた「On the Sunny Side of the Street」がなぜ心をざわつかせるのか、今のるいには理由がわかりません。この曲をかつて母・安子(上白石萌音)とともに聴いた記憶はるいには残っておらず、「いつどこでどうして聞いたのか思い出せない」のです。
節目節目で母と一緒に聴いた「On the Sunny Side of the Street」
思い出す限り、るいと安子が一緒に「On the Sunny Side of the Street」を聴くという描写があったのは、第22回と第33回。ざっと以下のようなシチュエーションです。※もしかしたら他にもあるかも知れません。
第22回 大阪行きの汽車で 安子が歌って聴かせる
第22回放送(時代は1946年)では、美都里(YOU)の嫌がらせに耐えられなくなった安子が、汽車に飛び乗って大阪に逃亡する様子が描かれています。
まだ赤ちゃんだったるいを抱きしめながら大阪行きの汽車に乗った安子は、膝の上に座るるいに優しく語りかけるように、「On the Sunny Side of the Street」を歌っています。
安子は、亡き夫・稔(松村北斗)と誓い合った「陽のあたる道を歩く人生」をるいとともに歩もうと決意し、この歌を歌ったのでした。
第33回 ディッパーマウスで聴く るいとロバートの初対面シーン
第33回放送(時代は1951年)では、成長したるい(古川凛)が喫茶店「ディッパーマウス・ブルース」で「On the Sunny Side of the Street」を聴く姿が描かれています。
戦災から立ち直った「ディッパーマウス・ブルース」を訪れた安子とるい。安子は稔との思い出の曲「On the Sunny Side of the Street」のレコードをかけてほしいとマスターの定一(世良公則)にお願いすると、「お父さんとお母さんの大切な曲じゃ」とるいに説明しています。
父の残り香を「On the Sunny Side of the Street」に感じたるいは嬉しそうな顔を見せますが、その直後に米軍将校・ロバート・ローズウッド(村雨辰剛)が偶然来店。安子と久しぶりの再会を果たすとともに、るいと初対面をしています。
るいのトラウマ?「On the Sunny Side of the Street」
後から考えると、この時にロバートと安子が再会してしまったことが、安子とるいの「決別」の引き金になってしまっています。
第22回では母娘の固い絆の象徴として歌われた「On the Sunny Side of the Street」でしたが、皮肉にも第33回では「On the Sunny Side of the Street」が響き渡る中でロバートと安子の「恋」の幕(=安子とるいの決別の始まり)が切って落とされてしまったのです。
第33回当時、るいはすでに7歳であり、今現在のるいに当時の記憶がまったくないとは考えられません。おそらくるいは辛い記憶を意識的に消し去り、トラウマの引き金である「On the Sunny Side of the Street」の記憶もなくしているのでしょう。
素っ頓狂な「宇宙人」ジョーが、るいのトラウマを消し去れるのか、今後の展開が楽しみです。