NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第53回の放送より。
この日の放送では、銀幕のスター「モモケン」こと桃山剣之介の人気シリーズ最新作「棗黍之丞(なつめきびのじょう)妖術七変化 隠れ里の決闘」を見て感銘を受ける大月錠一郎の姿が描かれています。
「世紀の駄作」とこき下ろされた「妖術七変化 隠れ里の決闘」ですが、どこか世間ずれしている錠一郎の心にはドンピシャで突き刺さったようです。
算太も安子も稔も見た モモケン映画
銀幕の大スターで人気時代劇「棗黍之丞(なつめきびのじょう)シリーズ」のヒットで知られるモモケンこと映画俳優の桃山剣之介(尾上菊之助)。
これまで、モモケン映画は何度か劇中に登場しています。
★モモケン登場の振り返り
・第2回…「たちばな」の仕事をサボった算太が見た、モモケン新人時代の初主演作品「桃から生まれた剣之介」。算太はモモケンが優男すぎてバンツマ(阪東妻三郎)やアラカン(嵐寛寿郎)にはなれんと酷評。
・第8回…稔に想いを募らせて大阪に駆けつけた安子が、稔と二人で見たモモケンの「棗黍之丞シリーズ」初期作。安子はモモケンの勇ましさに大満足し、嬉しそうに稔に映画の感想を語った。
・第42回…「棗黍之丞 女狐乱れ桜」を割引券で見た平助が、今ひとつだったと西山に不満を語る。平助は「椿三十郎」を見た後だとモモケンの殺陣が嘘くさく見えると酷評。同作品には伴虚無蔵が斬られ役で出演。
棗黍之丞シリーズ最新作「妖術七変化 隠れ里の決闘」
第53回の放送では、ラジオMC・磯村吟(浜村淳)に「トミー北沢には勝てない」と評論されて落ち込む大月錠一郎(オダギリジョー)が、るい(深津絵里)を連れて棗黍之丞のシリーズ最新作(第21作)「妖術七変化 隠れ里の決闘」を鑑賞する様子が描かれました。
戦前からの人気作だった「棗黍之丞シリーズ」ですが、社運を賭けて製作された「妖術七変化 隠れ里の決闘」は大不評。
前述のラジオMCは、黍之丞がたどり着いた隠れ里が妖術使いに操られているというバカバカしい設定、登場する妖怪のお粗末さ、さらに、悪の親玉役に無名の大部屋俳優・伴虚無蔵(松重豊)が起用されていることなど、支離滅裂で荒唐無稽な「妖術七変化」の出来栄えに批判が止まりません。※ただし、クライマックスのモモケンの殺陣だけは圧巻だと評しています。
追記:第17週では、2代目モモケンにより「妖術七変化 隠れ里の決闘」が再映画化されることが決定。この映画の敵役・小野寺左近役に伴虚無蔵が抜擢された経緯などが語られています。本来は2代目が左近役を演じる計画でしたが、すでにテレビで売れっ子だった2代目がこれを拒否。初代が当てつけで大部屋俳優の伴虚無蔵を抜擢したという経緯があります。
モモケンの決め台詞になぜか感銘を受けるジョー
ラジオMCの酷評を聞き、るいのデートの成否を心配する平助(村田雄浩)と和子(濱田マリ)でしたが、デートは成功のうちに終わります。
コンテストに向けて不安を抱えていた錠一郎は、「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聞こえぬ歌がある。黍之丞見参!」というモモケンの決め台詞になぜか深い感銘を受けた様子。
「勝つよ」「サッチモちゃんのために戦う」とるいに宣言するなど、映画デートは有意義なものになったようです。
「棗黍之丞シリーズ」が今後の伏線に?
たびたび劇中に登場しているモモケンの「棗黍之丞シリーズ」ですが、この映画の存在が後々のストーリーの伏線になる可能性があります。多少のネタバレを含みますのでご注意下さい。
伏線①るいの夫となる人は時代劇好き?
NHKから公表されている事前情報によれば、るいの娘にあたる3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)は「父の影響で時代劇と侍が大好き」という設定とか。
るいの初デートの相手である片桐(風間俊介)はるいを時代劇映画「椿三十郎」に誘っていますし、錠一郎はモモケンの決め台詞に深い感銘を受けたことで、人生が変わっていきそうです。るいの夫が誰になるのか、今後の展開が楽しみです。
伏線②伴虚無蔵がひなたの「師匠」に
京都で時代劇好きに育つ3代目ヒロイン・ひなたは、やがて地元京都の「条映太秦映画村」の人たちと関わるようになり、映画の世界に関わりを持つようです。
特に、長年「斬られ役」の大部屋俳優として日陰の道を歩んできた伴虚無蔵が、ひなたにとって「師匠」のような存在になっていくとのこと。ふだんから着流し姿で暮らし時代劇言葉で話すという変わり者・伴虚無蔵が、物語終盤の「京都編」で活躍していきそうです。
また、ひなたにとって憧れの女優である美咲すみれ(安達祐実)も、「棗黍之丞シリーズ」への出演で人気になったという設定のようです。