2022年前期のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」のタイトルの意味、由来などをまとめます。この「ちむどんどん」という言葉は劇中でもヒロインがたびたび口にし、ドラマの象徴的なワードとなっていきそうです。
タイトルに「ん」が入る朝ドラはヒットするという法則も囁かれますが、果たして…。
沖縄の言葉「ちむどんどん」
朝ドラ「ちむどんどん」は、沖縄生まれのヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)が料理人を目指していく物語。「個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く笑って泣ける朗らかな、50年の物語」というキャッチコピーが付けられています。
タイトルの「ちむどんどん」は沖縄弁、いわゆるウチナーグチが由来。
「ちむ」=「胸」、「どんどん」=「ワクワク、ドキドキ」といった意味を持ち、「ちむどんどん」は「胸をワクワク、ドキドキさせる」といった意味になるかと思います。
劇中では暢子がしばしば「ちむどんどん してきたー!」などと叫ぶシーンが登場。未来への大きな夢を見出した暢子ら若者たちの高揚感を、そのままタイトルで表現したものといえます。
★当初の仮タイトルは「うりずん」だった?
「ちむどんどん」の公式ガイドブックによれば、ドラマは当初、同じくウチナーグチで新緑の季節を意味する「うりずん」という仮タイトルで企画が進んでいたとか。その後ドラマの内容を詰めていく中で、登場する若者たちの心持ちをストレートに表現した「ちむどんどん」に決まったそうです。
四姉妹を描いた名作「若草物語」「細雪」がモチーフ?
「ちむどんどん」は、基本的には原作を持たないオリジナル作品です。「沖縄の本土復帰50周年を記念する朝ドラ」という企画がまず最初に存在し、そこから「四兄妹を中心とした家族の物語」という方向性が決まっていったそうです。
脚本を担当した羽原大介氏(「マッサン」「フラガール」などの脚本担当)によれば、「ちむどんどん」のプロット(筋、構想)はいずれも四姉妹の日々を描いた名作小説「若草物語」(ルイーザ・メイ・オルコット作)、「細雪」(谷崎潤一郎作)などを参考とし、綿密に練り込まれていったとのこと。
「若草物語」はアメリカの南北戦争の時代に、女ばかりの四姉妹が家族や隣人知人たちと交流する中で、自らの生き方を見出していく物語でした。「ちむどんどん」の比嘉家の四兄妹も家族友人知人との交流の中で心を動かし(ちむどんどん)、自らの生きる道を見つけていきます。
四姉妹の何気ない日常生活を描いた名作「若草物語」などを参考にしながら、「ちむどんどん」では比嘉家の長子の設定を男性(比嘉賢秀=竜星涼が演じる)に変更。トラブルメーカーの長男がいわば「狂言回し」のような役割となり、物語を突き動かしていきます。
名作朝ドラのタイトルには「ん」が付く法則
近年しきりに言われているのが、名作朝ドラのタイトルには「ん」が入っているという法則です。タイトルに「ん」を入れることで、キャッチーで親しみやすい語感になるからでは?などとも言われます。
直近でいえば、「カーネーション」「梅ちゃん先生」「純と愛」「あまちゃん」「ごちそうさん」「花子とアン」「マッサン」「とと姉ちゃん」「べっぴんさん」「わろてんか」「半分、青い。」「まんぷく」「おちょやん」「らんまん(※2023年)」など、「ん」が付くタイトルだらけ。
同じ沖縄を舞台とし大人気となった2001年の朝ドラ「ちゅらさん」(国仲涼子主演)も、「ん」で終わるタイトルでしたね。
「ちむどんどん」というタイトルは、ウチナーグチを知らない人でも心地よさや親しみやすさを感じるのではないかと思います。視聴者の「ちむ」を「どんどん」させられるのか、「ちむどんどん」の放送開始が楽しみです。