NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」に登場する、条映の時代劇「破天荒将軍」「江戸を蹴る」「金太郎侍」についてまとめます。
これらの作品は劇中のフィクションとなりますが、それぞれあの人気時代劇シリーズがモチーフになっていると思われます。
映画村では「破天荒将軍」などを撮影中
昭和58年(1983年)8月。高校生最後の夏休みを迎えていたひなた(川栄李奈)は、大部屋俳優・伴虚無蔵(松重豊)に時代劇への情熱を見込まれて「条映太秦映画村」の休憩所でアルバイトをすることになります。
アルバイト初日。条映の休憩所にやって来たひなたは、休憩所の壁にはられた本日の「香盤表(撮影スケジュール)」を見て驚きます。
「破天荒将軍Ⅲ」(轟組)、「江戸を蹴る」(小林組)、「金太郎侍」(鳥越組)…。どうやらひなたも良く知る条映の人気時代劇が、今日まさにこの場所で撮影されているようなのです。
ひなたは、休憩所で知り合った映画村の職員・榊原(平埜生成)の案内により「破天荒将軍Ⅲ」の撮影現場を見学させてもらえることになります。
「破天荒将軍Ⅲ」は、「ミス条映コンテスト」の審査員だった演出家・轟強(土平ドンペイ)が率いる「轟組」の人気作品。轟強といえば、「棗黍之丞シリーズ」などを手掛けた名演出家として知られます。「世を治めんがため天荒を破る。人呼んで破天荒将軍!」という決め台詞を持つ主人公・破天荒将軍(徳重聡)が悪者をバッタバッタと成敗する勧善懲悪時代劇です。
ひなたはこの撮影現場で主役の破天荒将軍を見かけて大感激しますが、同時にあの無愛想な男・五十嵐文四郎(本郷奏多)も見かけて…。
「世を治めんがため、天荒を破る。人呼んで破天荒将軍」
— ホリ・エージェンシー公式 (@horiagency_info) February 17, 2022
皆様、ご覧頂けましたでしょうか?
また来週も出演するかもしれません!
お見逃しなく!#徳重聡#破天荒将軍#カムカムエヴリバディ#オフショット pic.twitter.com/8NiXSUq3lG
モデルは「暴れん坊将軍」「江戸を斬る」「桃太郎侍」か
この日映画村で撮影されていた「破天荒将軍Ⅲ」「江戸を蹴る」「金太郎侍」は、それぞれ実在する人気時代劇シリーズ「暴れん坊将軍」「江戸を斬る」「桃太郎侍」がモデルになっている考えられます。
それぞれ「条映」のモデルと思われる「東映」が制作に関わっている作品たちですね。
「破天荒将軍」=「暴れん坊将軍」シリーズ
「暴れん坊将軍」は、昭和53年(1978年)にテレビ朝日系列で放送がスタートした東映制作の人気時代劇シリーズ。
松平健演じる8代将軍・徳川吉宗が、貧乏旗本の三男坊「新さん」として庶民の暮らしに紛れながら、江戸市中にはびこる悪を成敗するという何とも破天荒な時代劇シリーズです。
ひなたがアルバイトを開始した昭和58年(1983年)はちょうど「暴れん坊将軍」の第2シリーズ(4年間に渡り放送)が開始された年ですね。平成14年(2002年)には第12シリーズが制作されるなど、「暴れん坊将軍」は超人気時代劇シリーズとして長年愛されています。
「江戸を蹴る」=「江戸を斬る」シリーズ
「江戸を蹴る」のモデルと思われる「江戸を斬る」は、昭和48年(1973年)にTBS系「ナショナル劇場」で放送が開始された人気時代劇シリーズ。制作はC.A.L(シーエーエル)という映像制作会社で、東映も制作協力として名前が見られます。
第1シリーズ(1973年)の主人公・梓右近、保科正之(一人二役)を竹脇無我が、設定が一新された第2〜第6シリーズ(1976年〜1981年)の主人公・遠山金四郎を西郷輝彦が、第7,第8シリーズ(1987年、1994年)の主人公・遠山金四郎を里見浩太朗がそれぞれ演じています。
放送枠「ナショナル劇場」は松下電器産業(現・パナソニック)の単独スポンサー番組であり、「江戸を斬る」シリーズの製作総指揮は松下電器産業の創業者である偉人・松下幸之助が担っています。
「金太郎侍」=「桃太郎侍」シリーズ
「金太郎侍」のモデルは「桃太郎侍」でしょう。
人気時代劇シリーズ「桃太郎侍」は、山手樹一郎の時代小説「桃太郎侍」が原作。1950年代から時代劇映画としてシリーズ化されると、昭和37年(1962年)には若杉恵之介主演、東映テレビ・プロダクション制作によりNET系列(現在のテレビ朝日系列)でテレビドラマ化されています。
その後、昭和42年(1967年)には4代目尾上菊之助(現・七代目尾上菊五郎)主演、三船プロ制作により日本テレビ系列で再びドラマ化。※四代目尾上菊之助は、「カムカムエヴリバディ」でモモケンを演じている5代目尾上菊之助の父。
もっともよく知られる高橋英樹による主演シリーズは、東映制作により日本テレビ系列で昭和51年(1976年)から放送開始。昭和55年(1981年)にかけて足掛け4年、全258話が放送されています。ひなたがアルバイトしていた時期(昭和58年)に近いのはこのシリーズですね。
※高橋英樹版は1992年、1994年にテレビ朝日系列でもスペシャル版が放送されています。
平成18年(2006年)には高嶋政宏主演による「新・桃太郎侍」(テレビ朝日系列、東映製作)も放送されています。