NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」3月4日(金)放送の第87回に、劇中のアイテムとして俵万智の歌集「サラダ記念日」が登場しています。
憧れのお姉さん・小夜子先生に憧れる桃太郎は、自身の恋心を「サラダ記念日」の文章に投影していくことになります。
憧れの「藤井先生」から「サラダ記念日」をもらう桃太郎
少年時代から、姉の親友である藤井小夜子(新川優愛)に恋心を抱いていた桃太郎(青木柚)。小夜子はその後、教師になるという夢を叶え、桃太郎が通う京都西陣高校で国語教師として働き始めています。
相変わらず11歳年上の初恋の人・小夜子にご執心の桃太郎は、何かと理由を付けて小夜子がいる「国語準備室」を訪ねているようです。この日の口実は、「国語が苦手なので何か読みやすい本はないか」というもの。
桃太郎の恋心に気が付いていない(?)鈍感な小夜子は、桃太郎の国語学習のために俵万智の歌集「サラダ記念日」を手渡します。
サヨコ記念日 長嶋記念日
桃太郎の勉強に役立てば、との思いで「サラダ記念日」を選んでくれた小夜子ですが、その思いはいまいち桃太郎には伝わっていないようです。
桃太郎は、
「この本を君がいいねと言ったから四月二十日はサヨコ記念日」
「長嶋みたいねと君が言ったから八月一日は茂雄記念日」
などと自身の恋心を俵万智の詩に当てはめてウキウキ。どうやら国語の勉強をする気はなさそうです。
1987年の大ヒット歌集「サラダ記念日」
「サラダ記念日」は、大阪府出身の歌人・俵万智(たわら・まち)の第1歌集。
昭和62年(1987年)5月に河出書房新社から出版されると、280万部を超える大ベストセラーとなり、1987年度ベストセラーランキング第1位を獲得。親しみやすく平易な表現が大きな共感を呼び、社会現象にもなりましたね。
「カムカムエヴリバディ」劇中でも取り上げられた表題の「サラダ記念日」は、以下のようなものです。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
この歌は、俵万智が野球観戦デートの際に持参したお弁当の唐揚げ(カレー味)を彼氏に褒められたことから想起されたものとのこと。
これを桃太郎は
「この本を君がいいねと言ったから四月二十日はサヨコ記念日」
「長嶋みたいねと君が言ったから八月一日は茂雄記念日」
と改変したわけです。
野球部でレギュラー獲得を目指して頑張り、守備位置がサードであることを「長嶋みたい」と小夜子に褒められた(?)桃太郎の恋心が、ある意味で上手く俵万智の文体にハマっていますね(笑)。
桃太郎が小夜子から「サラダ記念日」を受け取ったのが平成4年(1992年)の4月20日のことなので、歌集発売から5年後の出来事ということになります。