NHK連続テレビ小説「らんまん」で、主人公・槙野万太郎の大切な相棒になっていく番頭の息子・竹雄(たけお)。万太郎の姉・綾に身分違いの恋をしていくなど、竹雄はストーリー上重要な役割を担っていきそうです。
この竹雄という人物は、牧野富太郎の生家「岸屋」で働いていた二人の人物がミックスされてキャラクターが創作されている可能性があります。
「若」と「綾さま」を守る番頭の息子・竹雄
竹雄(志尊淳)は、峰屋の番頭・市蔵(小松利昌)の息子。幼少期から万太郎(神木隆之介)や綾(佐久間由衣)とともに育っており、上下関係はあるものの槙野姉弟とは幼なじみといえる関係です。
万太郎を「若」、綾を「綾さま」と呼び、一歩下がった場所から二人を見守ってきた竹雄。やがてタキ(松坂慶子)から万太郎のお目付けを命じられると、奔放な万太郎に振り回されつつも、良き理解者として行動をともにしていきます。
竹雄は「若と綾さまはワシが生涯をかけて守る」と心に誓う一方で、「綾さま」に対して淡い恋心を抱いていました。
幼い頃から酒造りに興味津々だった綾は、峰屋に出入りする蔵人・幸吉(笠松将)に酒造りについて教えてもらう中で、次第に幸吉に好意を抱いていきます。竹雄はそんな綾の気持ちに気が付いており、複雑な気持ちを抱いていくようです。
綾、幸吉、竹雄の三角関係がどのような結末を迎えるのか、そして、恐らく峰屋の将来を担うことになるであろう綾の生涯のパートナーは誰になるのか、今後の展開が注目されます。
万太郎役の神木隆之介と竹雄役の志尊淳はプライベートでも仲がよく、今回の朝ドラでの共演を大変喜んでいるようです。二人のそうした良好な関係性が、万太郎と竹雄の微笑ましいやり取りにも活かされていきそうです。
▼志尊淳(しそん・じゅん)は、東京都出身の28歳の俳優。ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー(主演)」「表参道高校合唱部!」「きみはペット(主演)」「植木等とのぼせもん」「極主夫道」「青天を衝け」など人気作に多数出演。朝ドラは2018年の「半分、青い。」以来の出演。
モデルは岸屋の「番頭の息子・熊吉」と「後継の番頭・和之助」の2人か
ドラマに登場する酒蔵「峰屋」は、主人公のモデル人物である牧野富太郎の生家が高知・佐川町で営んでいた「岸屋」(酒蔵、小間物屋)がモデルになっています。
この「岸屋」で働いていた二人の人物が、竹雄のモデルになっている可能性があります。
※以下、多少のネタバレというか、今後のドラマの展開のヒントになってしまう内容を含みますのでご注意ください。
▼番頭・和之助も登場する牧野富太郎の伝記。子供向けの平易な文章ながら内容が良く練られており、富太郎の人生の概要をしっかり理解できます。
竹雄のモデル人物候補① 番頭の息子・佐枝熊吉
竹雄の一人目のモデルと考えられるのが、「岸屋」で古くから番頭をしていた佐枝竹蔵の息子・佐枝熊吉(さえだ・くまきち)です。
父の竹蔵は優秀な番頭で、富太郎の両親が若くして亡くなり祖母の浪子が「岸屋」を切り盛りするようになると、浪子の右腕として手腕を発揮。「岸屋」の経営の安定に貢献をしています。「らんまん」の番頭・市蔵に相当する人物ですね。
その竹蔵の息子・熊吉は、富太郎が内国勧業博覧会の見物のために初上京をする際に同行するなど、富太郎の世話係を担っています。「らんまん」でも竹雄は上京する万太郎に常に付き添い、世話係を担っていきます。
竹雄のモデル人物候補② 新たな番頭・和之助
竹雄のもう一人のモデルである可能性があるのが、独立した佐枝竹蔵に代わり「岸屋」の番頭になった和之助(かずのすけ)という男性です。
富太郎が植物研究のために上京し、やがて祖母の浪子が亡くなると、岸屋の経営は番頭の和之助と、富太郎のいとこにあたる女性・猶(なお)の二人に任せっきりだったそうです。
植物研究に没頭し実家の財産を派手に食いつぶしていた富太郎は、いとこの猶から「もう送金するお金がない、今後の岸屋について考えるため一度帰郷して欲しい」といった旨の手紙を受け取っています。
この手紙を受けて、富太郎は財産整理のために一時帰郷。「岸屋」の窮状を目の当たりにした富太郎が出した答えは、岸屋を番頭の和之助に譲ること、そして、いとこの猶と和之助が一緒になって(結婚して)岸屋を受け継いで欲しいというものでした。これ以上実家に迷惑をかけたくないという気持ちもあったのでしょうね。
こうして富太郎は代々の家業だった「岸屋」を手放し、打ち出の小槌状態だった実家の金銭的支援も終了。一気に困窮生活へと突入しています。
「らんまん」では、姉の綾が複雑な生い立ち(ある親戚から引き取られた子)であることが次第に明かされていきます。史実の和之助・猶カップルが竹雄・綾カップルとイコールだと読み解けば、今後の展開がある程度予想できるかと思います。